入試分析
早稲田実業学校中等部
2021年度
国語
2021年度入試分析
大問数3題、小問数17と、昨年小問数が減少した傾向は変更されませんでした。大問2の小問3つは全て記述問題でした。といっても、昨年のような80文字というようなものではなく、問の中の文章の穴埋めをする記述問題で、15文字から20文字でした。といっても、本文の内容から考える問題で、指定語句もあったので難しく感じたかもしれません。文章量はそれほどでもありませんが、大問2で時間が足りなくなった受験生もいたかもしれません。2021年注目問題
未来の見えない状況が自由である理由を読み取って、空欄補充という形で答えるというものが出題されました。ただし、抜き出しではなく、使用する語句の指定があるので、それに合わせて自分で内容をまとめることが必要です。本文は抜粋ですが、前段で未来の見える状況を説明しています。ここでは、「未知を消去」し「あらゆるリスクを避け」ようとし、「安心安全をはかる」とあります。これに「合わせて」という言葉を使わなければいけないので、どの要素を使うかですが、最後に「道への不安、すなわち死の恐怖」とあるので、「未知を消去し合わせて安心安全をはかる」とまとめます。後段で未来の見えない状況が説明しています。「私の知覚、感応、直感、判断、行動の結果」で「別の未来ができあがっていく」とあるので、「自分の選択によって未来をつくりあげる」とまとめます。実際の入試では、指定語句を使うことや□で囲むなど指示を守ることも大切です。
過去10年の単元別出題傾向
算数
2021年度入試分析
制限時間60分・配点100点・大問5題・小問16題と、ほぼ例年通りの出題でした。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題となっています。長文や資料を正確に読み解いてその場で思考を積み重ねていく問題が毎年出されるのが早稲田実業の特徴ですが、今年は文章量が少なく、比較的解きやすい問題が多くなった印象です。条件を整理し、解き方を見つけていくことが重要です。まず1の4題は、時間をかけずに全問正解が必至です。逆算・比・角度・影の基本的な内容が出題されています。2の(1)は流水算の問題です。線分図を書き、静水時の速さを求めることが出来れば、問題なく解くことが出来るでしょう。2では、規則性の問題が出題されていますが、考えられる組み合わせをいくつか書き出すことで規則性を見つけられるようにしてください。3の3題は、表を参考にしながら面積図などを用いて解き進めましょう。4では、1から順に1ずつ増やした数字を交互に言い合い、一度に1つか2つの数を言い、○の数字を言ったほうが負け、という誰しもが経験したことのあるゲームではないでしょうか。3や5を言ったほうが負け、の場合は先行必勝で4や6を言ったほうが負けの場合は後攻必勝であることを知っていれば、読み解きやすい問題です。5では紙を折り、切断をする問題が出題されています。山折りと谷折りの説明も書かれていますので、切断した場合の図がイメージ出来るならば特に問題がないはずです。もし(2)①がイメージ出来ないようならば、必然的に②も解くことが出来ません。
2021年注目問題
2平面図形(折り返しと切断)です。灰色の部分は谷折りと山折りを行い、重なっている部分です。折り返されている部分は広げた時に反転した図形が現れますが、QP線の引き方で頭を悩ませてしまうことが多そうです。受験対策として、実際に紙を折り、切り取ることから仕組みや決まりなどを研究してみてください。
過去10年の単元別出題傾向
数の性質と図形(平面図形・立体図形ともに)では、かなりレベルの高い問題が出題されます。
合格のために
早稲田実業の合格を勝ち取るためには- 高度な計算力を身につける。
- 基礎力は早目に完成させる。
- 平面図形は問題を見ると解き方が浮かぶようになるまで念入りに。
- 立体図形の切断や展開図からのイメージを正しく持てる練習を行う。
- 長めの問題文の問題にあたり、時間をかけて丁寧に考える。その際に途中でやめずに、必ず解き方を理解し、正解にたどり着くこと。
社会
2021年度入試分析
大問数3題は例年通りでしたが、2020年度と同様に27題でした。これは、記述問題が昨年度よりも少なくなったことに関係があると思われます。また、今年度は地形図の読み取り問題が2年連続で出題されました。今後、しっかりと対策をしていく必要があります。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。早稲田実業合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。〔Ⅰ〕は東京都の「八丈島」を題材とした地理の総合問題が出題されました。ここでは、記号問題・用語記入問題・地図の読み取り問題と記述問題が幅広く出題されていますが、問題の難易度は基本から標準レベルなため、高得点が取れたと思います。〔Ⅱ〕は「オリンピック・パラリンピック」を題材とした問題が出題されました。中でも問3の「メダルに使用される金・銀・銅の国別産出量」を答えさせる問題は、応用レベルですので、躓いた生徒も多かったと思いますが、それ以外の問題難易度は、基本~標準レベルですので確実に正解しておかなければなりません。〔Ⅲ〕は「情報・交通の歴史」を題材とした問題が出題されました。設問の全ては、本文や地図・絵画資料から読み取れることを記述したり記号で答えさえたりする問題です。この問題は、資料の読み取りが合否を分けるポイントとなっています。データ資料・図表の読み取りや文章読解が苦手な場合は、早期に対策をする必要があります。特に、問6の資料から読み取れる事を○×で答えさせる問題は、受験生の大半が多くの時間を費やしたことと思われます。この問題が分からなければ、自分が解ける問題にうつりましょう。時間の使い方が試される上で、非常によい問題です。
2021年注目問題
過去10年の単元別出題傾向
早稲田実業学校中等部の社会は、データの読み取り問題がよく出題されます。特に、国土・自然・気候・農林水産業・工業・貿易はデータ読み取りの定番ですので、苦手な場合は、早期に対策をしましょう。
合格のために
早稲田実業の合格へのカギは、どの分野においても満遍なく対策をすることです。また、早稲田実業の入試問題は、設問までの文章が長いため、国語と同様に読解力も身につけておかなければなりません。加えて、設問を細部まで読み解く力(例えば、正しくないものを答えるのか、正しいものをすべて答えるのかなど)も見極めながら正確に処理する判断力を養う訓練を普段の学習から取り組むことをお勧めします。理科
2021年度入試分析
今年度は大問数3,解答箇所19と,昨年と比較して大問数は変わらず,解答箇所はやや減少しました。出題レベルは基本的なものから標準的なものがほとんどです。しかし,記述問題および図示して答える問題も出題されていて,その準備は不可欠だったでしょう。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題,Bは標準問題,Cは応用問題をそれぞれ示します。1は「火山・火成岩」の問題でした。西ノ島の噴火,火山岩の特徴,キラウェア火山が題材でした。西ノ島に関する設問は,日ごろのニュースなどに関心を持っていた受験生には容易な問題だったはずです。また,他の設問は基本的な知識を問うものでした。
2021年注目問題
問題文中,「この火山はなだらかな形」「海岸の砂は黒い」とあり,これらに注目すれば解くことは難しくないはずです。早稲田実業の問題への対応には,このように問題文を決して読み落とさないことが大切になります。2は「環境・水の中の生物」についての問題でした。長野県諏訪湖におけるアオコの発生が話題の中心ですが,その設問はプランクトンの知識と問題文を正確に読み解くことで対応できたはずです。問3の120字の記述は普段からの練習が必要でした。3は「科学総合」の問題でした。物質の熱伝導率やリチウムイオンバッテリー,溶解度,中和などの設問がありました。リチウムイオンバッテリーの開発で旭化成の吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞したのは2019年です。近年にノーベル賞を受賞した日本人などはおさえておく必要がありました。
過去10年の単元別出題傾向
生物領域は特に幅広い興味関心が必要です。また,今年度の出題にはありませんが,音や光が出題頻度が高いのも早実の特徴の一つです。環境問題や時事問題も一般の入試に比べ頻出です。
合格のために
これまで見てきた通り,早実の合格を勝ち取るためには,- 基本的な知識を確実にすること。
- 基本的な知識をもとに考える力を養成すること。
- 科学に興味を持つこと。