早稲田実業学校中等部2019

入試分析

早稲田実業学校中等部
2019年度

早稲田実業学校中等部(統一合判偏差値 男子:74/女子:75)
2019年度入試情報
筆記試験 国・算・社・理
入試日2/1 性別:男子

定員 出願者 志願倍率 受験者数 合格者数 実質倍率
85名 442名 5.20倍 419名 103名 4.07倍
入試日2/3 性別:女子
定員 出願者 志願倍率 受験者数 合格者数 実質倍率
40名 245名 6.13倍 232名 57名 4.07倍
過去6年間の実質倍率
性別:男子
2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度
4.07倍 3.50倍 3.20倍 2.96倍 3.05倍 2.77倍
性別:女子
2019年度 2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度
4.07倍 3.58倍 3.48倍 3.57倍 3.68倍 3.28倍
2019年度入試も男子・女子の倍率が共に昨年度よりもさらに上がりました。過去6年間の実質倍率から見ても一番高い結果となりました。早稲田実業は、首都圏の共学校では最難関校の一つですが、決して対策が困難なわけではありません。早稲田実業の入試問題の特徴として、「算数が難しい」というのがあります。附属校の中では特に算数が難しいといえます。まず女子受験生の場合ですが、一般的に「算数を苦手にしており、国語を得意にしている生徒が多い」といえます。そのため、国語ではあまり差がつかず、算数で差がつく傾向が見られます。女子受験生の場合、合否を分けるのは「算数ができること」といえます。当然ながら、国語も得意なことも必須です。次に、男子受験生の場合ですが、一般的に「国語を苦手にしており、算数を得意にしている生徒が多い」といえます。そのため、算数では差がつかず、国語で差がつく傾向が見られます。男子受験生の場合、合否を分けるのは「国語ができること」といえます。当然ながら、算数も得意なことも必須です。このように女子の場合は、「算数で決まり」、男子の場合は、「国語で決まる」といえます。

国語

2019年度入試分析

大問数3題は変化していません。小問数は30とやや少なくなりました。 論述問題が出題される傾向は変わらず、しかも4題の出題と倍増しました。新センター試験に代表される「思考力・表現力」が重視される出題という流れは止まらないものと思われます。 文章も文字数が多く、語彙も必要なものです。内容も先輩と仲良くしたい一方で周りから仲がいいと思われたくないという葛藤を描いたもので、簡単なものではありません。普段から難易度の高い文章題を解く練習をしておく必要があります。 漢字など知識事項は、一度はならったことのあるはずのものばかりです。合格のためには失点してはいけないものばかりです。 60分という試験時間ですが、難易度と量を考えると決して十分な時間ではありません。国語の科目内容として特別な力が必要だというわけではありませんが、試験に対しては十分に対策をする必要があるといえます。

2019年注目問題


もちろん、前後の文章の内容もありますが、基本的な考え方は三十一が短歌の文字数であるということです。吟行がなにかは本文中に出てきます。 しかし、ここまでヒントがあっても三十一が短歌の文字数であるということに考えが及ばない受験生が多かったのも事実です。注意深く、さまざまなことを考えながら本文を読む必要があります。これは受験当日突然できることではありません。普段からの練習が必要です。普段練習する問題の質・量を考えながら適切な問題演習が合格への近道だといえるでしょう。

過去10年の単元別出題傾向

算数

2019年度入試分析

制限時間60分・配点100点・大問5題・小問17題と、ほぼ例年通りの出題でした。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題となっています。長文や資料を正確に読み解いてその場で思考を積み重ねていく問題が毎年出されるのが早稲田実業の特徴ですが、今年は、全体的にやや難化しており、苦戦した受験生が多かったようです。

まず1の4題は、時間をかけずに全問正解が必至ですが、(4)は条件が少し複雑なので、時間をとられてしまった受験生もいたようです。条件整理をする際に図や表を素早く作成する練習をしておくと、それほど難しく感じないで正解にたどり着きます。次に2の(1)の展開図は、イメージを正しく持てれば必ず得点できる問題。(2)の単位分数の問題は、単位分数について知らなくても、説明文を参考に、思考を重ねていくと正解できますが、単位分数についての知識があれば、時間をかけずに無理なく得点できる問題でした。また3の売買損益の問題は、問題文は複雑ですが、落ち着いて整理して丁寧に考えていくと、内容自体は標準レベルなので、合格するためには必ず正解してほしい問題です。4の平面図形の辺の長さと面積比の問題は、(1)は正解必須。(2)(3)は合格するためには正解してほしい問題です。5は問題文や図から一見難しそうに感じられ、全く手をつけなかった受験生もいたようですが、(1)(2)の角度の問題は、ぜひ取り組んで正解してほしい問題です。平面図形に点の移動に速さと、数の性質の要素をミックスした複合問題でした。

2019年注目問題


難しく感じるでしょうが、時間があるときに必ず正解を出して解き方を身につけてほしい問題です。

過去10年の単元別出題傾向


数の性質と図形(平面図形・立体図形ともに)では、かなりレベルの高い問題が出題されます。

合格のために

早稲田実業の合格を勝ち取るためには
  1. 高度な計算力を身につける。
  2. 基礎力は早目に完成させる。
  3. 平面図形は問題を見ると解き方が浮かぶようになるまで念入りに。
  4. 立体図形の切断や展開図からのイメージを正しく持てる練習を行う。
  5. 長めの問題文の問題にあたり、時間をかけて丁寧に考える。
その際に途中でやめずに、必ず解き方を理解し、正解にたどり着くこと。
早稲田実業攻略のカギは問題文の正確な把握と試験時間のコントロールですが、直前の追い込みで何とかできるものではありません。基礎力が完成したならば、早い段階で早稲田実業に特化した問題処理能力養成のための訓練をしていくと効果的です。

社会

2019年度入試分析

大問数3題は例年通りでしたが、小問数は2018年度よりも12題少ない22題でした。これは、記述問題と図表・データの読み取り問題が増加したことに関係があると思います。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。早稲田実業合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。

〔Ⅰ〕は各時代の彫刻作品を題材とした歴史の長文問題が出題されました。ここでは、記号問題・用語記入問題・データの読み取り問題と記述問題が幅広く出題されています。問5の「天皇の系図を見て分かること」、問10の「初代ハチ公像と同じ頃に銅像が撤去された理由」を記述する問題は、当時の時代背景がしっかりと把握出来ていなければ解けない問題が出題されていますが、それ以外の問題難易度は基本から標準レベルなため、高得点が取れたと思います。ただし、設問の中には、選択肢の中から誤っているものをすべて答えさせる問題も出題されていますので、設問を注意深く読み取る力が必要です。〔Ⅱ〕は「食」の安全性についての地理問題が出題されました。設問の大半は、会話文の読み取りと資料の読み取り問題です。この問題は、資料の読み取りが合否を分けるポイントとなっています。データ資料・図表の読み取りが苦手な場合は、早期に対策をする必要があります。

2019年注目問題


〔Ⅲ〕は「世界幸福度調査」を題材とした問題が出題されました。設問の大半は記述問題が出題されています。しかも、問3は「各国が福祉について取る方向をA・Bのどちらか記号で選んだ上で、そのマイナス面をふまえながら、なぜそのように考えるのか理由を150字前後」で答えさせます。受験生の大半は、この問題に多くの時間を費やしたことと思われます。この問題が分からなければ、自分が解ける問題にうつりましょう。時間の使い方が試される上で、非常によい問題です。

過去10年の単元別出題傾向


早稲田実業学校中等部の社会は、データの読み取り問題がよく出題されます。特に、国土・自然・気候・農林水産業はデータ読み取りの定番ですので、苦手な場合は、早期に対策をしましょう。

合格のために

早稲田実業の合格へのカギは、どの分野においても満遍なく対策をすることです。また、早稲田実業の入試問題は、設問までの文章が長いため、国語と同様に読解力も身につけておかなければなりません。加えて、設問を細部まで読み解く力(例えば、正しくないものを答えるのか、正しいものをすべて答えるのかなど)も見極めながら正確に処理する判断力を養う訓練を普段の学習から取り組むことをお勧めします。

理科

2019年度入試分析

今年度は大問数3,解答箇所15と,昨年と比べ大問数・解答箇所ともに減少しています。出題レベルは基本的なものから標準的なものがほとんどでしたが,やや複雑な計算問題,記述問題および図示して答える問題も出題されていました。記述問題は過去4年は毎年出題されていますが,図示する問題はここ10年で初めてです。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題,Bは標準問題,Cは応用問題をそれぞれ示します。

1は「酸素」に関する問題でした。。酸素の性質および酸素を発生させる実験の基本的知識を問う問題でした。酸素の重さを求める計算問題は,難しくはありませんが,計算量を要する問題でした。 2は「台風」についての問題でした。昨年(2018年)7月の特異な動きをした台風12号が題材でしたが,台風の一般的知識があれば対応できたはずです。しかし,そのときの天気図で,チベット高気圧,太平洋高気圧,寒冷渦の位置関係をこたえる問題は,気象にテキスト以上の興味関心がなければ難しい問題だったかもしれません。 3は「こん虫」の問題でした。記述問題や図示する問題があり対応が大変な問題でした。また記号選択問題も迷う選択肢があり,レベルは低くありませんでした。こん虫に関するより深い知識と思考力が要求されています。

2019年注目問題


問2が図示して答える問題です。こん虫の図は,描くのは難しくはないと思いますが,問題文の中にたくさんの指示が出ています。その指示に忠実に,また不足することなくこたえなければなりません。問題文を読むことは基本中の基本ですが,早実の入試でも当たり前のようにしなければなりません。

過去10年の単元別出題傾向


生物領域は特に幅広い興味関心が必要です。また,音や光が出題頻度が高いのも早実の特徴の一つです。環境問題や時事問題も一般の入試に比べ頻出です。

合格のために

これまで見てきた通り,早実の合格を勝ち取るためには,
  1. 基本的な知識を確実にすること。
  2. 基本的な知識をもとに考える力を養成すること。
  3. 科学に興味を持つこと。
単なる受験知識ではなく日ごろから新聞を読み,ニュース番組を見て,生きた知識として自分のものにするように心掛けることが大切です。
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