早稲田実業学校中等部2018

入試分析

早稲田実業学校中等部
2018年度

早稲田実業学校中等部(統一合判偏差値 男子:73/女子:73)
2018年度入試情報
筆記試験 国・算・社・理
入試日2/1 性別:男子

定員 出願者 志願倍率 受験者数 合格者数 実質倍率
85名 372名 4.38倍 654名 101名 3.50倍
入試日2/1 性別:女子
定員 出願者 志願倍率 受験者数 合格者数 実質倍率
40名 211名 5.28倍 204名 57名 3.58倍
過去5年間の実質倍率
性別:男子
2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度
3.50倍 3.20倍 2.96倍 3.05倍 2.77倍
性別:女子
2018年度 2017年度 2016年度 2015年度 2014年度
3.58倍 3.48倍 3.57倍 3.68倍 3.28倍
2018年度入試は、男子・女子の倍率が2017年度入試よりもさらに上がりました。過去5年間の実質倍率から見ても一番高い結果となりました。早稲田実業は、首都圏の共学校では最難関校の一つですが、決して対策が困難なわけではありません。早稲田実業の入試問題の特徴として、「算数が難しい」というのがあります。附属校の中では特に算数が難しいといえます。まず女子受験生の場合ですが、一般的に「算数を苦手にしており、国語を得意にしている生徒が多い」といえます。そのため、国語ではあまり差がつかず、算数で差がつく傾向が見られます。女子受験生の場合、合否を分けるのは「算数ができること」といえます。当然ながら、国語も得意なことも必須です。次に、男子受験生の場合ですが、一般的に「国語を苦手にしており、算数を得意にしている生徒が多い」といえます。そのため、算数では差がつかず、国語で差がつく傾向が見られます。男子受験生の場合、合否を分けるのは「国語ができること」といえます。当然ながら、算数も得意なことも必須です。このように女子の場合は、「算数で決まり」、男子の場合は、「国語で決まる」といえます。

国語

大問数3題、小問数34と、例年通りの出題量でした。昨年度より、条件付きの記述問題が出題されましたが、今年度も記述問題が2題出題されています。今後も、記述問題が出題されることは明らかであるため、記述の対策もしっかりとしていかなければなりません。

出題分野分析表


それ以外の出題傾向は例年通り、記号とぬき出しです。試験時間が60分とはいえ、問題数が多く、難易度の高い問題も多いため、時間をかけて対策をする必要があります。

算数

制限時間60分・配点100点・大問5題・小問16題と、ほぼ例年通りの出題でした。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題となっています。本年度は少し長めの問題文や資料を正確に読み解いていく、受験生泣かせの問題が毎年出されるのが早稲田実業の特徴ですが、今年も数題出題され苦戦した受験生が多かったようです。

出題分野分析表


まず1の4題は、時間をかけずに全問正解が必至です。特に平面図形の角度や面積を求める問題は、与えられた図を見た瞬間に、工夫して解くプロセスが浮かんでくるようになるようになるまで、徹底した問題演習でセンスを磨いておくとよいでしょう。次に2の点の移動の問題は、正しくイメージできるかどうかです。特に(3)の作図問題は、円を描くイメージが持てれば、易しい問題となり、正解できる問題でした。3は立方体の切断の問題で、(1)は基本レベルなので、正解が必至。切断の様子が正しくイメージできると、平面図形や立体図形の基礎知識を使って解ける早稲田実業らしい問題です。(2)の①はやや複雑な問題です。立体の問題はイメージし、図示できれば解答の糸口が見えてきます。丁寧に解きこむ練習が必要です。②は標準レベル。計算ミスしないように得点したい問題です。4は数の性質や、推理の要素を含む問題。縦と横の長さに注目して整理していくと、(2)まではスムーズに解ける問題です。5は一見難しそうに感じられますが、「空」の動きの規則を見つけ、丁寧に考えていくと、時間はかかりますが全問正解できる問題でした。 今年の1題は3の立体図形の切断の問題です。切断の基礎知識と、イメージが正しく持てれば、(1)は時間をかけずに正解できます。

早稲田実業攻略のカギは問題文の正確な把握と試験時間のコントロールとなりますが、直前の追い込みで何とかできるものではありません。受験算数の全範囲の学習が終了し、標準レベルの実力が身につくと、早い段階で早稲田実業に特化した、問題処理能力養成のための訓練をしていくと効果的です。特に、立体図形はイメージし、図に描いてみる、丁寧に計算し、最後まで解きこむ練習を徹底的に行うと効果的です。また、場合の数や推理の学習は、基礎から標準レベルの問題演習を繰り返し行うことが、合格点をたたき出す近道となります

社会

大問数3題は例年通りでしたが、小問数は2017年度よりも6題少ない34題でした。これは、例年よりも記述問題が多く出題されたことに加えて、データの読み取り問題が多く出題されたことと関係があると思われます。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。早稲田実業合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。

出題分野分析表


〔Ⅰ〕は会話文を中心とした地理の総合問題が出題されました。ここでは、国土・農業・水産業・貿易・エネルギー・交通と幅広い分野で出題されました。特に、データの読み取り問題と記述問題が多く出題されています。中でも問1の交通に関する問題は、通学経路と時刻表を基に記述しなければならないので、受験生の大半はこの問題に多くの時間を費やしたことと思われます。
〔Ⅱ〕は船を題材とした交易の歴史問題が出題されました。難易度は基本から標準レベルの問題ですので、高得点が取れたと思われます。〔Ⅲ〕は日本国憲法に関する問題が出題されました。問題の大半は公民分野ですが、数問は歴史分野からも出題されていました。難易度は〔Ⅱ〕と同様、基本問題・標準問題レベルですが、設問の中には、選択肢の中からすべてを答えさせる問題、誤っているものをすべて答えさせる問題も出題されていますので、設問を注意深く読み取る力も必要です。 以上のことから、早稲田実業の合格へのカギは、どの分野においても満遍なく対策をすることです。また、早稲田実業の入試問題は、設問までの文章が長いため、国語と同様に読解力も身につけておかなければなりません。加えて、設問を細部まで読み解く力(例えば、正しくないものを答えるのか、正しいものをすべて答えるのかなど)も見極めながら正確に処理する判断力を養う訓練を普段の学習から取り組むことをお勧めします。

理科

今年度は大問数4、小問数16、解答箇所21で、昨年と比べ大問数は変わりませんが、解答箇所が少し減りました。解答形式は記号選択が大半で、他に30字以上50字以内の記述問題が出題されていました。出題内容も出題レベルも標準的なものがほとんどでしたが、一方で社会や科学への幅広い関心と問題意識が必要なものも出題されており、その分野への対策ができていたかどうかは合否に影響したかも知れません。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。

出題分野分析表


1は「オオカナダモの光合成実験」。基礎知識で十分答えられます。2は「太陽と月の南中高度」。月の南中高度を単に知識として記憶していた場合、問2の上弦の月の南中高度で応用が利かなかったのではないでしょうか。3は「加熱時間と温度上昇」。比例と反比例の関係から計算を進めていく問題でした。
テキストでよく目にする一般的な問題ですが、若干難易度が高めなため、しっかり勉強して判断力と計算力を身に着けていたかどうかで大きく点差が開いたと思います。4は「エネルギー資源の利用」。電源種別発電量のグラフが示され、総合的な知識が問われました。

これまで見てきた通り、早実の合格を勝ち取るためには、1.基本的な事項を確実にすること。あやふやな単元を残してしまうと大きな失点につながりかねません。2.演習量を多くし、早く確実に解く練習をすること。3.科学に興味を持つこと。単なる受験知識ではなく、日ごろから新聞を読み、ニュース番組を見て、家族で話題にして、生きた知識として自分のものにすることが必要です。
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