入試分析
慶應義塾湘南藤沢中等部
2020年度
国語
2020年度入試分析
大問数4題、小問数24題と、例年通りの問題が出題されました。大問一の知識問題は、非常に解きやすいものであるのはここ数年続いています。慣用句などについてしっかりと対策する必要があります。大問2が短めの説明文で、大問3が長文の物語文というのもここ数年の傾向通りです。 とはいえ、文字数的にはかなり多いので読む速度が遅い受験生は大苦戦したことでしょう。大問四の作文では文字数が150文字であったことと改段落が不要であったことから、長めの作文となりました。特別な対策が必要な変更ではありませんでしたが、時間不足に陥った受験生がいるかもしれません。2020年注目問題
2020年入試では説明文は針生悦子さんの文章、物語は水野瑠見さんの文章でした。針生悦子さんの文章は大阪府立大学などで出題が見られますが、中学入試では珍しいように感じます。小学生にはちょっと難しめの文章の出題はよく見られる傾向です。水野瑠見さんの『十四歳日和』は2019年夏に出版された話題の本でした。
過去10年の単元別出題傾向
算数
2020年度入試分析
制限時間45分・配点100点・大問6題・小問18題と、ほぼ例年通りの出題でした。問題難易度は昨年に比べやや易しくなった印象です。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題となっています。まず,今年も例年通り,【1】【2】ともに基本的な問題です。時間をかけずに全問正解が必須です。【3】は,文章をしっかりと読み取って,ルールが何なのか確認していく事が重要です。【4】は仕事算の問題。割合の基礎が定着しており問題文の順を追って考えていくと時間をかけずに正解できる問題でした。【5】は重なり、折り返しの問題です。折り返しのイメージがなかなかつかめない場合は,実際に紙を折り返して形を確認するなど,徹底して類題演習を行えば正解出来るようになります。【6】は速さの問題。問題文を丁寧に読んで,一つ一つ丁寧に考えて,状況把握をしていく事が解法のカギです。
2020年注目問題
【3】 規則性の問題です。規則を見つけると、次に進めますが、見つからないと時間がかかってしまします。本校は規則性の問題が頻繁に出題されているので、徹底した問題演習で得意単元に押し上げておくと自信を持って本番に臨めます。
過去10年の単元別出題傾向
合格のために
慶應義塾湘南藤沢中等部の合格を勝ち取るためには- 高度な計算力を身につける。
- 基礎力は早目に完成させる。
- 場合の数や条件整理は典型問題を解きこむ。
- 速さの問題(特に流水算・時計算・通過算)は常に状況を把握し,自分でグラフを書けるように練習しておく。
- 立体図形の切断や平面図形の折り返しからのイメージを正しく持てる練習を行う。
社会
2020年度入試分析
大問数7題・小問数35題とほぼ例年通りです。2020年度入試も、「地形図の読み取り(縮尺)」や「緯度・経度」の計算問題が出題されていますので、1問にかける時間と見直しにかける時間の配分をそれぞれ考えて解かなければならない入試問題であったと思われます。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。慶應義塾湘南藤沢中等部合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。【1】は山口県「萩」の地形図問題が出題されました。地形図の読み取り」は慶應湘南藤沢の頻出単元ですので、必ず対策をしておきましょう(ちなみに、過去10年間で計7年出題されています)。問2では、実際の長さを求める縮尺の問題が出題されていますが、縮尺の公式が理解出来ていれば、解ける問題ですので難しく考える必要はありません。問題の難易度は、基本から標準レベルですので、確実に正解しておきましょう。しかし、問4のような問題は、「図2の視点の矢印の先が向いている方位を八方位で答えさせる問題」は設問の内容が理解されているかを問われています。このような問題に直面した場合、時間を多く費やすだろうと思ったならば、他の問題に移って確実に点数を取る方法に切り替えましょう。以上のことから、問4は時間配分と状況判断能力を試す上で、非常に良い問題です。
2020年注目問題
【1】 図1は1/50,000地形図「萩」より作成したものです。地図の方位は上が北で拡大縮小はしていません。問いに答えなさい。問4 図2は図1の1から4のいずれかの視点から見たときの地形の起伏を示したものです。図2の視点としてもっとも近いものを選び、番号で答えなさい。また、選んだ視点の矢印の先が向いている方位を八方位のいずれかで答えなさい。方位は漢字で書くこと。 【2】は世界の食料問題が出題されました。問5の「SDGsの日本語での呼び方を9文字で答えさせる問題」以外は、基本から標準レベルの問題が出題されていますので、確実に取っておかなければなりません。【3】は世界遺産を題材とした歴史問題、【4】は大津周辺の内容に関する歴史問題、【5】はアジア太平洋戦争に至るまでの日本の区内外の様子を題材にした歴史問題、【6】は日本の選挙権と被選挙権の表から読み取れることを題材とした歴史と公民の複合問題がそれぞれ出題されました。どれも基本から標準レベルの問題ですので、ここでの失点は許されません。むしろ全問正解していてもおかしくはない問題です。中でも【4】の問2と問3は、それぞれ説明された文について正しいものには○、誤っているものには×を答えさせるという内容でした。慶應湘南藤沢では、例年このような形式で出題されます。必ず本文や設問の前後にヒントとなるワードが書かれていますので、本文と設問を細部まで読み取る力が必要です。普段の学習から意識して問題に取り組んでいる受験生にとっては、有利だったと思います。【7】は小学校の教科書を題材とした公民の問題が出題されました。設問の中には、現在の日本に起きている事象を説明した問題が出題されています。これは、時事的要素の強い問題ですので、普段から新聞やニュースはチェックしておく必要があります。
過去10年の単元別出題傾向
慶應義塾湘南藤沢中等部の地理は、各地方の特色と地形図の読み取りを出題される割合が高いです。各地方の特色は、国土・農業・水産業・工業・人口などと併せて出題されます。苦手な場合は、早期に対策をする必要があります。
合格のために
湘南藤沢の合格へのカギは、どの分野においても満遍なく対策をすることです。特に、今年度出題された「地形図の読み取り」は、大手進学塾では小学4年生時に学習して、その後小学5・6年生で再度、時間を設けて学習することはありません。縮尺と等高線・地形図の読み取りが苦手な受験生は、早期に対策しましょう。また、湘南藤沢は他の慶應附属校3校の中で、設問を細部まで読み解く力が特に必要です。(過去の入試問題では、正しい答えが1つだけではなく、2つ以上あるものもありました。)正しい答えを見極める判断力を養う訓練を普段の学習から取り組むことをお勧めします。理科
2020年度入試分析
今年度は大問数4,小問数21と,例年と変化はありませんでした。また,物理・化学・生物・地学の各領域から大問が1つずつ出題されていたことも例年通りでした。解答形式は記号選択と数値記入がほとんどです。しかし,短いながらも記述解答問題が2問出題されており,試験時間を上手に使わないと大きな失敗をすることになりかねません。また,記号選択問題では,「すべて選び」の形式が多いので,選択問題だからと侮ってはいけない問題も見られます。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題,Bは標準問題,Cは応用問題をそれぞれ示します。【1】は「川」についての出題でした。基本的な設問が中心で選択肢も迷うものが少ないことから確実に正解したい問題でした。
【2】は「ふり子の運動」と「てこのつり合い」の問題でした。特に難しい問題は見当たりませんでしたので,受験生にとっては自信をもって解答できた問題だったのではないでしょうか。【3】は「生物のつながり」の問題でした。問5,問6のアカネズミの生息数調査の設問は,標準的な問題でしたが,受験勉強の中で類題を経験していると迅速に処理できる問題でした。【4】は「水溶液の分類」の問題。メモを取りながら確実に解き進めたい問題でした。問題集の基本から標準レベルの問題をくり返し練習することで,ミスなく対応できる問題でした。
出題分野分析表
物理・化学・生物・地学の領域別ではほぼ同じ割合で出題されています。その点ではバランスのよい学習が必要です。特に◎のついた単元では不得意単元を絶対に作ってはいけません。
合格のために
これまで見てきた通り,慶應義塾湘南藤沢中等部の合格を勝ち取るためには,- 幅広い知識を確実にすること。
- 問題文を正確に速く読み取ること。
- 不得意な単元を残さないこと。
- テストや問題集の基本的な問題では確実に得点できるようにすること。