慶應義塾普通部 2021

入試分析

慶應義塾普通部
2021年度

国語

2021年度入試分析

大問数3題・小問数30題と、ほぼ例年通りの問題数が出題されました。問題の形式も、記号選択問題、書き抜きの問題、記述問題と、例年通りの出題です。

2021年注目問題


コロナのニュースをこのような形で出題するということに慶應義塾らしさを感じました。この前後ではシベリア抑留者や第一次世界大戦における名もなき戦死者の話も出ています。問題自体は前後をよく読めば難しいものではありません。ニュースにおいて「カウントされる人たち」ですから、当然コロナを発症した人たちです(ウ)。また、CとDは「裏返しの示唆」ということからもわかる通り、対義語を入れるのがしっくりきます。カ 全体とキ 一部がいいでしょう。文中に俵万智さんの短歌がありますが、現代短歌というものは小学生にはなじみがないものかもしれません。そのような点でとまどった受験生もいたようですが、過去にも現代短歌が出題されていますので、一度は目を通しておくべきでしょう。慶應の付属中では、このように受験生=これから慶應義塾生となる人に考えてほしい内容が本文になることも少なくありません。これから慶應義塾を受験したいとおもっている人たちにぜひ味わってほしい文章だと思います。

過去10年の単元別出題傾向

算数

2021年度入試分析

 制限時間40分・配点100点で大問9題・小問13題、昨年と同数の問題数でした。問題難易度は例年同様です。出題傾向も、昨年と同様に図形に関する問題が3題出題されています。図形と比の問題では、昨年は1題の出題でしたが、今年は「図形上の辺の比」が1題、「円の半径の比」・「底面積の比」から2題も出題されております。それに加えて、例年出題される「速さと比」も出題されているため、普通部を志望するならば「比」に関する問題は特に力を入れておきましょう。設問ごとに「途中式や考え方」を書く欄が設けられているのも普通部の特徴です。解くための順序を説明できるように準備をしておきましょう。今年の問題について、以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題となっています。慶應義塾普通部は40分という制限時間内に基本的な易しい問題と、時間がかかる複雑な問題が混在しており、タイムコントロールが合格するための絶対条件として求められます。

1.①の問題では、188を素因数分解することで「188=2×2×47」で構成されていることが分かりますので、2021を構成する数に「47」が含まれていることを推測することが出来ます。このように、40分という制限時間を有効に使うためにも、一問一問で時間を使いすぎないようにしてください。2.では、正八角形の一つの辺に正五角形が重なった場合の角度ですが、内角と外角がそれぞれ何度になるのかが思いつくようにしましょう。3.ではA君、B君、C君それぞれが所持金の関係になっているのか、線分図を使うなどして解くための工夫を用いてください。4.の場合の数は、作られる3桁の整数について、それぞれの位の数を足して3の倍数になる時が「3の倍数」のときであることを留意し、取り組んでください。5.の過不足算では面積図や表を作ることで、○○人以上〇〇人以下が成立する条件を探しましょう。6.では、AとBの差が3、BとCの差が2…などの条件をそれぞれ立式することを解くための手立てとしてください。7.円柱と比の問題は、半径×半径が底面積であることに気をつけ、比の値がそれぞれ半径を示すものなのか、底面積を示すものなのか、体積を示すものなのかを記しておきましょう。8.では速さと比の関係、速さの比と時間の比を出すことで求めることが出来ます。9.は正六角形を分割する線を引いた時の比を求める問題です。日頃から多角形を分割する練習を重ねてください。 2.はベン図や表を書いて整理するとわかりやすいです。3.の平面図形の問題は、求める比をどのような手順で導き出すかを、直ぐに思いつくか否かで時間の使い方が変わってしきます。ここで無計画に時間をかけてしまった受験生は後半の問題を解く時間が足りなくなったと思われます。 4.の流水算は、条件を読み取って整理していくと①はすぐに正解できます。②はグラフや情景図で整理するとよいでしょう。5.は数の性質の短時間で解けるサービス問題です。6.は与えられた図の、どの部分が同じ長さか、図に書き込んで考えると糸口が見つかります。今年の特徴ですが、7.、8.、9.と後半の大問3題に、条件整理をして書き出しつつ問題を解く糸口を探る問題が続きました。いずれもどこかで見たことがあるような典型的な問題です。条件を読みとばさずに、書き出す練習をしておくとよいでしょう。ここでは時間をかけず正解を出したいところです。この後半3題は時間をかけると正解できる問題ですが、それでは40分という時間の壁は破れません。問題文を正確に読み取り、条件を整理し、スピーディーに解く練習をして処理能力をつけるのが合格点をたたき出すカギとなります。

2021年注目問題

8.速さの比と時間の比を使う問題です。

速さの比と、時間の比を求めることが正解へのカギとなります。普通部の問題では「比」を使う問題が多く出題されます。特に図形と比は頻出の範囲となりますが、今回は更に「速さと比」の問題まで出題されましたので、「比」に対応する力を身に付けておくことが合格へのポイントとなるでしょう。

過去10年の単元別出題傾向


合格のために

慶應義塾普通部の合格を勝ち取るためには
  1. 計算の工夫を用いた解法を身につける。
  2. 基礎力を早めに身に付けておく。
  3. 途中式や考え方が説明できるようにしておく。
  4. 問題文から条件を読み解き、整理する力を身につける。
  5. 図形と比、速さと比など「比」に関する知識を充実させておく。
 図形の問題は毎年3問ほど出題される傾向にあります。年度により展開図か、辺の比のどちらかが必ず出題されています。今年の問題では「速さ」の問題にも「比」が使われていたため、普通部対策では「比」が出ることを想定して進めていきましょう。

社会

2021年度入試分析

大問数6題・小問数31題とほぼ例年通りです。どの問題も丁寧に読み取らなくてはならない問題が出されており、問題量を考慮すると、制限時間30分内で処理するのは至難の業です。つまり、スピード力と状況判断力が必要である問題であると言えます。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。慶應普通部合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。

1)は「今日の日本における数字の割合」に関する問題が出題されました。ここでのポイントは、いきなり大問1からCの応用問題が出題されたということです。大抵の社会科入試では、出題される内容ではないので、殆どの受験生が躓いたと思われます。

2021年注目問題


2)は「関東地方~中部地方にかけての都道府県」を題材とした問題が出題されました。この問題は該当する都道府県をX県Y町として、各設問からその県が何県かを答えさせる内容でした。問題の大半は基本~標準レベルですので、確実に取らなければなりません。3)は「日本の新幹線」を題材とした問題が出題されました。この問題は、各新幹線の発着駅が理解出来ていれば解ける問題ですので、対策をしていない生徒にとっては点数が取れない問題ですので、ここで差がついたのではないでしょうか。4)はある小説の一部分を題材とした問題が出題されました。内容は、小説の一部分が空欄になっており、そこから人名や国名、用語を答えさせるなど多岐にわたっています。問題の難易度は基本~標準レベルですので、こちらも確実に取らなければなりません。5)は「日本の河川」を題材にした問題が出題されました。問題を見ると、歴史で一度は習ったことのある内容ですので、こちらも多くの受験生が正解出来たのではないでしょうか。6)は「世界でおこった感染症の歴史」を題材とした問題が出題されました。同じ感染症の組み合わせを答えさせる問題があるので、一見すると難しい内容に思いがちですが、問題文をよく読めば解ける内容が殆どです。

過去10年の単元別出題傾向


 慶應義塾普通部社会の歴史は、テーマ史ではなく原始~現代までの通史を出題する割合が高いです。また、公民では、統治分野を出題する割合が高いです。特に、経済は苦手としている生徒が非常に多いので、他のライバルと差をつけたいのであれば、早期に対策をすることをお勧めします。

合格のために

慶應普通部の合格へのカギは、どの分野においても満遍なく対策をすること。そして、3)で出題されたように、最新の統計資料・グラフ(特に地理分野に関係するもの)なども目を通しておくことが必要です。また、慶應普通部は、他の慶應附属校の中で記述問題の出題が多いです。そのためには、普段の学習から一つの社会用語(人名・地名・出来事など)から沢山のキーワードを導き出す訓練(点と点から一つの線にする訓練)をしておきましょう。

理科

2021年度入試分析

大問数は4と昨年に比べて1つ減りましたが、解答箇所は44問と解答箇所が8つ増えました。30分の試験時間を考えると、試験自体の難易度は低いとはいえません。出題レベルは基礎的なものから標準的なものがほとんどですが、記述問題が5問出題されており、最近は5年連続で記述問題が出題されているため記述問題への対策が必須となります。今年はグラフを書く問題も出題されているため、その対策も必要となりました。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題,Bは標準問題,Cは応用問題をそれぞれ示します。

問1は水溶液の問題でした。設問は水溶液の分類といろいろな水溶液の性質を問う基礎的な問題であるため、それぞれの水溶液の性質を正確に覚えておくことが必要となる問題でした。問2はヘビに関する問題。アオダイショウを題材として、ヘビの脱皮・擬態に関するものおよびヘビが今の形態になった理由を述べる問題が出題されていました。幅広い知識を持つこと、そしてその知識を使って推測することが必要となります。平素からの生物全体への興味・関心が大切です。

2021年注目問題


問3は物質の密度と浮力について問う問題。題意を理解し表を読み解き、数値の関連性に気づくことが必要になってきます。簡単な計算もする必要があるので素早く処理する練習をしておくと時間に余裕ができるでしょう。問4は地層の問題でした。小問1に関しては地層周辺の状況を見て、観察に相応しい服装を選び理由を答えるという慶應らしい問題でした。自分自身の安全管理能力が問われている問題であるため、普段の生活から規律を守り自己管理能力があるかを見られていると考えます。

過去10年の単元別出題傾向


慶應義塾普通部では特に生物分野において、幅広い知識が要求されます。基礎的な知識を習得しておかなければいけないのはもちろん、「身の回りの生物への関心と理解」が不可欠です。

合格のために

慶應義塾普通部の合格を勝ち取るためには
  1. 全分野の基礎知識を確実にしておくこと
  2. 身の回りの生物や現象、環境への関心と理解
  3. データ・計算を迅速に処理できる能力
問題の難易度は高くありませんが、私たちが生活している身の回りと関連付けて問題が出題されます。出てきやすいです。ただ単に知識を身に着けるだけではなく、「実際に使える生きた知識」と「科学への興味」が,当校の受験準備には不可欠です。また,その上で出題傾向にあわせた十分な対策が,合格を勝ち取るためには必須です。
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