慶應義塾中等部2024

入試分析

慶應義塾中等部
2024年度

慶應義塾中等部
(合判模試偏差値 男子:74/女子:77)

所在地:東京都港区三田
調査書・報告書の有無:有
面接の有無:有(保護者同伴面接)
予想合格最低点 260点/300点

中等部は、福澤諭吉が早くから説いていた女子教育の重要さを反映し実現した男女共学校。「独立自尊」に根ざした、本当の意味で楽しい「自由」を味わえる。中等部の自由でのびのびとした明るい校風の中でじっくりと時間をかけて「自分」を磨き、慶應義塾の一貫教育において、将来社会の先導者となるための力を養ってほしいと考えられる。

2024年度入試情報

過去7年間の実質倍率(1次試験のみ)

国語

2024年度入試分析

大問数は5題、小問数は43題で、例年通りの分量です。問題の配置も大問一が文学的文章、大問二が説明的文章、大問三は文学史などの知識が盛り込まれた文章題、大問四が言語知識、大問五が漢字の書き取り15問と、これまで通りのものとなっています。
大問一・大問二の文章題では、文章中の表現の言い換えを求めるものや、表現の意図を問うもの、本文内容と照合して正しいものを選ばせる問題など、オーソドックスな出題が並びました。記述の問題が一問含まれていたことも例年通りです。文章のテイストとしては、大問一が「チャットGPT」やサッカーの「三苫選手」が登場するなど、時世を反映した文章になっていました。中学生が主人公の一人称小説であり、読みやすかったものと思われます。大問二については、慶應義塾中等部の立地から始まり、首都圏の文化の変遷を考察する者でした。ある程度具体性もある内容となっているので、こちらもそう読み取りには苦労しなかった受験生が多かったものと思われます。
大問三の文学史を絡めた文章題については、ノーベル文学賞や日本の古典文学についてのやや深い出題も目立ちました。机の上だけでの知識学習ではなかなか難しいものも見られました。
大問四の言語知識については、動詞の活用形と意味の対応を問うもので、問題としてはこれまで経験したことのない受験生も多かったのではないでしょうか。特筆して難しい問題ではなかったですが、与えられた表現から意味を考え、その場で対応していく力が求められました。
大問五の漢字については、やや難しい熟語表現も見られており、受験生の中でも差がついた部分だと考えられます。全体として、制限時間に対して無理のない分量とはなっていますが、幅広い事柄が問われるセットとなっているので、頭を切り替えながらテキパキと解き進めていくことが大切です。

設問ごとの難易度

2024年注目問題

【大問二】説明文中の一題。本文中の表現について、その説明を求める問題。傍線部は抽象的な内容になっていて、具体的にどのようなことを言っているのかを本文中から捉える必要があります。文章中で言い換えられた表現を丁寧に追いかけていき、具体化して掴んでいくという、読解問題のお手本のような設問になっています。広範な知識問題など特徴的な出題も目立つ慶應義塾中等部ですが、本問のようなオーソドックスな問題も多く、これらテンポよく正解できるようになることが大切です。

過去5年の単元別出題傾向

合格のために

「読解」「知識」「漢字」の三面をそれぞれ鍛えていきましょう。
「読解」については注目問題の箇所で述べたように、基本的な問題を正確に手早く解けるよう訓練を積んでいきましょう。大きな配点割合を占めています。「文章中に登場する特徴的な表現に注目する」「指示語や代名詞の指すものを明らかにしながら読む」というような読解セオリーを忠実に展開できるかが大事です。「知識」に関しては、オーソドックスな文学史に関する知識の他、より深いところまで問うてくる問題も出題されます。社会科とも関連させながら、一歩踏み込んだ興味をもって学んでいくことが大切です。「漢字」については、熟語としてやや難しいものも出題され、差がつくポイントとなっています。普段の読解練習や日常の中で知らなかった言葉にアンテナを張ってたくさん吸収していくこと、また、未知の熟語についても意味を想像して音から適切な漢字を選んでくる練習をしておくと対応力が高まります。

算数

2024年度入試分析

問題数は6大問、21小問で、例年と形式上の差はほとんどありません。また、問題難易度とその配列に関しても過年度と大きな変化は見られません。同偏差値帯の中学校と比較して、基本問題の割合が多く、高得点域の争いになったと予想されます。解法的にベーシックな問題が多いとはいえ、45分という制限時間を考えると、相当なスピードを持って走り切らないと時間内に得点を最大化することは難しいと言えます。計算や調べ上げに時間を要する問題も散りばめられていますので、そこをいかにテキパキ正答できるかが勝負の分かれ目です。設問としては大問4の群数列の問題、および大問5の水量変化とグラフの問題を手早く片づけられるかが重要となってきます。時間との戦いではありますが、手早く切り抜ける近道を探すより、結局は丁寧に調べ上げたほうが速く・正確に済ませられることもあります。その素早い決断などは、実際に時間を測って過去問に臨むことで培われていく部分が大きいです。また、最終問題である【大問6】(2)については、数え上げの難しさや引っ掛け的な要素もありますので、試験時間内に正答することは困難といえます。早々に見切りをつけて、前半の基本問題の見直しに時間を割くとよいでしょう。

2025年注目問題

【大問5】(3)の問題。正答に至るために、やることはシンプルです。グラフの続きを書いていきます。まず「そのように即決できるか」というところ、次いでそのための計算を間違えることなくスピーディーに進められるか、というところで差がつきます。同様に【大問4】(2)も、スピードの差が出るところといえるでしょう。

過去5年の単元別出題傾向

合格のために

合格への第一段階として、時間を気にさえしなければA問題はミスなく正答できるようになること。まずはこれが最初の一歩です。続いて、それぞれの問題の時間短縮がカギとなります。同じA問題でも、合格点を取れる人とそうでない人とでは解くスピードにかなりの差があります。最短の手数・処理で正答に至れるよう吟味・考察し、そして実際に手を動かして再度練習をしましょう。また、後半の大問形式の問題については、どのように解いていくかについて良し悪しの差が出ます。これも「解く速さ」を軸とした解法選択の必然性を検討すること(解いたあとに、どこに注目してその解き方をしたのか、また、それ以上に速く正確に解ける方法はなかったか、有識者と議論するなど)が大切です。

社会

2024年度入試分析

大問数は5題、解答箇所は44箇所であり、昨年度に比べて分量は増えていると言えます。また、20字以上50文字以内の文章記述問題が2題あることに加え、さらに作図の問題も加わるなど、これまで以上の解答テンポの良さが求められます。
大問1は日本の外交史・文化史に関連する問題でした。やや細かい知識問題や、狭い年代範囲での歴史事象整序問題が出題されました。続いて大問2は地震を切り口にさまざまな社会項目を問う問題でした。20字以上50字以内の記述問題では、解答要素が2つあることを見抜いて盛り込んでいかないといけない、差がつく問いかけがなされました。大問3は日米の為替相場についての問題でした。類題演習の経験があれば見た目ほど難しくはない大問であり、合格するには外せないポイントであったといえるでしょう。大問4は日本の地形や農業・水産業などに関する地理総合問題でした。資料分析の読解が多く、短時間で効率よく選択肢を吟味していく力が問われました。解答箇所も多く、合否ラインに影響する部分が大きかったところでしょう。知識問題についても「~ではないものを選べ」という形式がなかなか受験生の苦戦を誘ったのではないでしょうか。大問5は商品に使われる認証マークを落としどころとした問題でした。ここでも文章記述の問題が出題されました。問題文を慎重に読み取り、どの立場から、どんなことを書かせたいのか意図を読み取って表現する力が要求されました。

設問ごとの難易度

2024年注目問題

今回の山場であった【大問3】の中でもさらに出来が分かれたであろう(問3)の問題。青森県の津軽半島と下北半島の概略図を示し、青函トンネルの入り口に印をつけさせるという内容でした。慶應義塾中等部の社会の中でこのような作図問題は出題されたことがなく、柔軟に対応していくことが求められました。採点基準は不明ですが、特徴的な形の半島であるため、相対的な位置関係やある程度の海岸線輪郭、そして不自然ではない青函トンネルの位置図示が満点には必要だったと予想されます。また、同大問の他の小問の中でも、日本地図を地形含め細かいところまで見ているかを問う問題がありました。同様のエッセンスを含む問題が過去数年の中でも見られます。意識した学習が必要といえます。

過去5年の単元別出題傾向

合格のために

まずは地理・歴史・公民の三分野について満遍なく基本事項を押さえましょう。土台となる部分については、単元の偏りなく、苦手分野を作らない学習を積み重ねていきましょう。
地理については、「名称」「用語」だけではなく、常に地図がそばにある勉強をしていきましょう。国土・地形についての知識を問う問題は直接的・間接的を問わずよく出題されます。また、資料読解の力を身につけましょう。地方別や都道府県別に細かに学習する中で、統計資料やランキングはよく見ておくべきポイントです。
歴史については、年代の並べ替え問題が毎年出題されているのでたくさん練習しておく必要があります。具体的な年代数字を覚えるのも大事ですが、根底にある歴史の因果関係や流れを尊重して勉強しましょう。そのうえでの問題演習が大切になります。
公民については、今年度は細かく出題されませんでしたが三権分立や日本国憲法に関する内容も深く知っておくことが大切です。また、昨今の社会情勢に合わせた切り口で問われる項目も多いですので、直前期には時事問題の対策と合わせ、いま世界で起こっている出来事が学んだ内容とどうリンクしているのか知っておきましょう。
三分野総じて、「書く」力も重要となってきます。用語を正しく書くこと・文章記述が正しくできること、の2点です。普段の学習時から積極的なアウトプットを心がけましょう。
また、生活一般や社会常識に関する問題や、今回は出題されませんでしたが福沢諭吉に関する問題も、慶應義塾中等部社会科を特徴づけるものと言えます。社会科は過年度にさかのぼると過去問が使い難くなってきます(データや時事の関係から。)が、ある程度の年数の過去問には早い段階でしっかりと取り組んでおき、求められる力を実感しておくことが合格までの距離を縮めます。

理科

2024年度入試分析

 問題構成は4大問、そして小問が32問で、解答箇所の数そのものは例年より増しています。解答形式としては引き続き大部分が記号選択形式であり、語句記述・文章記述は小問2題に留まっています。各々の難易度としては、多くが基本~標準問題レベルであるものの、一部問いかけに趣向が凝らされているものもあり、要領よく解き進める術を身につけることが重要といえます。計算らしい計算問題は出題されていません。高得点域の争いの中で、細かい失点をできるだけ減らしていきましょう。
【大問1】は季節と星座、星に関する平易な知識問題が続きます。穴埋めとなっている箇所が多いので丁寧にいかないとケアレスミスが出がちなところですが、1つ1つの問題についてはストレートなものが大半です。【大問2】はプラスチックや金属の性質に関する問題でした。(2)の独特な問題設定や、出題意図を深く組む必要がある(4)については難しいですが、冷静に対処したいところです。【大問3】は今回のセットでも差がつくところだと言えます。解答に影響する要素を見抜いたうえで要領よく考えていかないと、時間と点数がともに失われてしまいます。最後の【大問4】に関しては、一つの大問の中で複数の分野が問われますが、どれも基本的な事項です。25分という制限時間に対して読ませる部分は多いものの、落ち着いた対応が求められます。

設問ごとの難易度

2024年注目問題

【大問3】の(2)は慶應義塾中等部らしい、短時間でたくさんの判断を迫る問題です。一見複雑ではありますが、考えること自体は「コイルの電流の向きがどうなるか」ということだけです。それを決定づけるのは電池のプラス・マイナスの向きと、エナメル線の巻かれる向きのみです。そう見抜いて冷静に解答を導けると合格に近づけます。

過去5年の単元別出題傾向

平易な問題が多いものの、隙のない単元学習が前提となります。また、独特の問いかけも多いため、過去問演習で慣れておくことは必須といえます。計算については、他の高偏差値帯の中学校一般に比べて要求されることは少ないものの、根底となる原理原則やそのあてはめについては長けておく必要があります。

合格のために

年度によりばらつきはあるものの、基本的には処理スピードが求められる問題セットであることが多いです。単純な知識問題も多いので、それらを短時間でパスできる前提知識と解答スピードを身につけていきましょう。一見して時間がかかりそうな問題についても、解答を定める要因を見抜ければ短時間で正答が選べるものも多いです。算数でもそうですが「時間をかければ解ける」から「できるだけ短時間で自信を持って解答できる」という状態にシフトできるよう、プロと意見交換を重ねましょう。

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