語彙力

早慶国語

こんにちは。Nexia・国語担当の青山雄一(あおやまゆういち)です。

語彙力

私は小さいころから、「辞書を調べろ」「辞書を引け」といわれて育ってきました。

居間の本棚には、国語辞典、日本語辞典、百科事典など様々な辞書があり、何かあるとすぐに辞書を引かされましたし、気が付くとすぐに辞書を引く子になっていました。

今考えるとってもありがたい教育でした。母に心から感謝しています。

だから、というわけではないですが、辞書を引くということはとても大切なことだと思っています。語彙力を増やすのにとても大切なことです。

次の問題は早稲田高等学院の2019年の問題(一部改)です。

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(略)そうしますと校長は、ますますAけげんな顔をして、「ハハア、確かに鍵は貴女よりほかの人の手には渡さないのですか」といいます。(略)

(略)コロン……コロン……と、水晶の玉を珊瑚の欄干から、振り落とすようないみじくもCゆかしい楽曲の譜は窓からもれ出でました(略)

傍線部A「けげんな」・傍線部C「ゆかしい」の語の意味をそれぞれ選び、記号で答えなさい。

A

ア おもしろい   イ すばらしい   ウ にくらしい   エ 納得しない

C

ア さびしげな   イ おもしろい   ウ 心ひかれる   エ たのしげな

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さて、いかがでしょうか?まさに語彙力が問われている問題です。

答えはAがエ、Bがウですね。

この問題を解くときに知識として意味を知っていれば瞬殺できます。

知らなかった時は前後の文脈から判断するしかないでしょう。

しかし、「ゆかしい」は非常に難しい文章の中で使われていますね。

これで前後の文脈から判断するというのも大変なように思います。

語彙力とはどのような力か?

語彙力とは何でしょうか?

そんなのきまっている!言葉をたくさん知っていることでしょ!

そんな声が聞こえてきそうです。

でも、まってください。

まず、当然ですが意味を知らなければなりません。

そして、使えなければ意味がないのです。

語彙力を増やすというと、参考書コーナーに「国語用の単語帳」があります。

文章を読むにはこの言葉を覚えましょう!という参考書です。

このようなものを否定するつもりは全くありません。

私もカタカナ語などを覚えるのに使ったことがあります。

一方、調べるにはどのような方法があるでしょうか。

スマホで調べることもできます。電子辞書で調べることもできます。

また、紙の辞書でも調べられます。

スマホや電子辞書は簡単に調べることができます。

また、子どもは電子機器を使うことを喜ぶ傾向があるので、そのような場合は効果があるでしょう。

紙の辞書というと、重いしかさばるし……。調べるのも大変。

だんだんと使う子は少なくなっているように思います。

では、実際にひいてみるとどうなるでしょうか。

けげんな

そんなことが実際にある(あった)のかというように不思議がる様子。(新明解国語辞典)

わけがわからず、不思議に思うようす。納得がいかないようす。(小学新国語辞典)

ゆかしい

① 人前でいばったり、大げさにふるまったりすることなく、好感が抱ける様子だ。② 想像を掻き立てもっと深く接してみたいという気持ちを抱かせる様子だ。(新明解国語辞典)

① 上品で心がひかれる。② 昔のことがしのばれる。(小学新国語辞典)

ちなみに、インターネットでも検索してみました。

検索画面でパッと目に飛び込んできたのは「見たい・聞きたい・知りたい」ということば。

きちんとそのページを開くと詳しく説明されています。

(LINK: ゆかしいとは – Weblio辞書

さて、国語辞典を引いたうえで、答えが出せるでしょうか?

両者とも、答えられますね。

もちろん、出題者も出題にあたって辞書を引いているでしょうから、この結果は当然だと思います。

国語辞典を使ってみよう!

引くのが面倒くさい、時間がかかる国語辞典です。

でも、子どもにひかせてみませんか?

「あいうえお順」に並んでいる言葉から自分の探している言葉を見つけるだけでも結構大変です。

そして、意味を読んで考える。

意外と頭を使っています。

これが大切なんです。

繰り返していくうちに言葉に対する感覚も身に付きます

インターネットで検索して、検索画面に出てきた「見たい・聞きたい・知りたい」だけをみて問題を解くことはできるでしょう。

でも、それで頭を使っているでしょうか?

「あいうえお順」を理解することは、文法の理解などにもつながります。

お子様は50音表をかけますか?

かけないとしたら、文法でつまずく可能性があります。

辞書を引くことで培われる力はとても大きなものがあります。

そして、知らない言葉に出会ったときに類推する力も紙の辞書を引くことで養えると考えます。

わからない言葉に出会ったときに簡単に電子辞書で調べる。なんでもかんでも調べる。

一見よさそうに見えて、何も頭を使っていません。

読書をたくさんする生徒さんは「知らない言葉を類推する力」が優れています。

それが、語彙力があるということではないでしょうか。

もちろん、類推するにはある程度言葉を知っていなければなりません。

私の授業では、紙の辞書と電子辞書両方を使っています。

時間の関係もありますし、意味を膨らませたいときは紙の辞書、というようにしています。

使い分け方はいろいろあると思います。

でも、すこしでもいいんです。紙の辞書を引いてみてください。


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