早稲田中学校 2023

入試分析

早稲田中学校
2023年度

早稲田中学校
(合判模試偏差値 第1回:74/第2回:75)

所在地:東京都新宿区馬場下町
調査書・報告書の有無:無
面接の有無:無
予想合格最低点 130点/200点

大隈重信の教育理念に基づき、坪内逍遥らによって創設された、早稲田大学の付属・系属校の中でも最も古い伝統校。常に誠を基本とする人格の養成に努め、個性を伸張して、国家社会に貢献しうる、健康で民主的な人材を育成することを教育目標とする学校。中高一貫教育により、心身の自然な成長を図り、自らの志をとげる学力の向上を目指している。本人の希望を重んじ、約半数の生徒が、早稲田大学以外の国公立大学や医大に進む。進学校としての側面も持ちあわせている。

2023年度入試情報

過去7年間の実質倍率

国語

2023年度入試分析

大問数2題・小問数14題と、例年通りの問題数が出題されました。文章量もほぼ平年並みです。問題の形式も、記号選択問題、書き抜きの問題が大半をしめ、記述問題(50字、35字)と早稲田中学校の定番と言える問題構成でした。また、設問の難易度も易しい問題から高難度のものまで幅広く出題されています。 早稲田中学校の定番ではありますが、物語文は、登場人物が捉えにくい問題です。問題を解くためのテクニックに頼り切った解き方をすると、解きづらさを感じる問題です。文頭から通して、しっかりと読めば、難しい問題ではありません。国語の文章をしっかりと読むことは、テクニックではありません。むしろ、王道の解法であり、国語の本質であると言えます。早稲田中学校が受験生に求めていることは、試験問題や日々の学習で、テクニックに頼った勉強ではありません。難しい問題を解けること以上に、問題の本質を理解することを求めています。

2023年注目問題



過去10年の単元別出題傾向

算数

2023年度入試分析

例年より難化傾向にあります。今までの小問集合で一見簡単そうだが、解けない問題や計算の力業が必要な要素が随所に見られました。また、解き方では発想が複雑な部分、また手法(シャドーなど)が求められました。立体図形と割合の融合問題が1問見られたが、難しいので取り組む必要性はないと感じられます。また、最後の図形の移動の問題は一番難易度が高いことから、問題を全体にまずは一通り目を通して判断する必要があります。平均は例年同様低くなると思われます。

〔1〕の(1)、(2)が平易な分、安心して(3)で躓く生徒が多数出そうです。(3)論理と推理の問題を表で整理する手法だけで解く癖をつけてしまうと、解けないことに気づき慌てるパターン。普段からつるかめ算(面積図)を使っている子でも発想に苦しむ問なので、捨てるという選択肢もありでしょう。小問集合が簡単という概念は捨てることも重要です。
〔2〕の(1)角度の問題ではミスをしないことが重要です。(2)平面図形はなるべく簡単な解法に気づくまでに時間を要するので、そこには少し時間をかける必要性があり合格するには正解しておきたい問題ではありますが難しいです。(3)は回転体の考えのみで問題を解いてしまうと失敗するうえ、立体の回転図・見取り図が書けないと基本的には解けません。これは捨て問だと考えて良いです。〔3〕の速さは慌てず解くことができれば、得点源になりそうです。
〔4〕は数の性質の問題ですが、少し戸惑うかもしれません。(1)、(2)は純粋にタイル切れだけを問う問題なのでさほど難しくはないですが、(3)のように最大公約数を約数で調べていくことに気が付ければとても速く解けるでしょう。また、タイル切れの式を作ったときに引き算をかける最大公約数部分は、分かっている135の約数という条件から試行検証していくと答えに到達することができかと思います。
〔5〕の(1)の作図の問題だが、(2)よりも難しさがあり、中央部分で軌跡の交点が重なるということをひし形の性質を使って証明する必要があるためきわめて難しい問題です。

2023年注目問題

 〔3〕 速さの問題です。

(2)はやや煩雑な問題文を整理して線分図に表現していくことが求められるとともに、「橋」の扱いについて正しく読み取ることができているかが問われました。
(3)は出発到着がバラバラの追いつきですので、ダイヤグラムを選択して距離一定で仕留めることができます。

過去10年の単元別出題傾向


合格のために

早稲田中学校の算数は、解答用紙を見ればわかるとおり、「答えのみを書く解答形式」です。 そのため、「部分点」がなく、計算ミスが即失点につながります。また、基本的な問題が多く、同じ 早稲田系列にみられるような難問奇問はほとんど出題されません。長い問題文から条件を読み取 る「論理問題」も、今まで出されていません。このことから、シンプルに、「計算力」を試す問題と言え ます。受験者層のレベルを考えると、ケアレスミスでの失点は合否に大きく影響します。日頃の計算 練習で正確な計算力を身につけておくことはもちろんですが、見直しをしやすいように普段からし っかりと途中式を書くなどして、ケアレスミスをなくす工夫も必要です。
早稲田の算数は、年度により難しさに差があります。早稲田の算数で合格点を取るためには、「難度が高いか低いかで、点数の取り方を変える」のがポイントです。問題が難しい年は、中学の数学の内容が出題されることもあるので、「落ち着いて、解けるものから確実に解いていくこと」が大切です。逆に、基本的な問題が多い年は、高得点勝負になるので、「見直しを丁寧に行ってミスがないようにすること」ことが大切になります。合否を分けるのは、メインである「図形問題」への対策です。「角度の求め方」「図形の移動」や「相似」が頻出となっています。小6になるとあまり練習しなくなってしまうお子さんも多いですが、しっかりと対策する必要があります。これらの図形問題を攻略するために、図やグラフを書く練習もしておきましょう。

社会

2023年度入試分析

2023年度入試は大問数3題、小問数28題とほぼ例年通りです。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。早稲田中学校合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。

〔1〕は「北海道」を題材とした地理の問題が出題されました。問題の構成は、用語記入・空欄補充・記述・記号問題と多岐にわたりますが、問題の難易度は、基本から標準レベルの問題が大半を占めていますので、多くの受験生が取れたのではないでしょうか。また、〔1〕の中には応用問題が数問入っていますので、問題を見極める力が必要になります。2023年度入試では問1と問4・問5が該当します。問1では、北海道のある火山の説明を読んで山名を答えさせる問題が、問4では、「飲用牛乳等出荷量」のグラフをみて北海道を除く上位9都道府県から共通して読み取れることを10字以内で記述する問題、問5では、「パルプ・紙・紙加工品」の製造品出荷額の全国第1位と2位を漢字で答えさせる問題がそれぞれ出題されました。

2023年注目問題


この問題は、応用力が必要ですので、多くの受験生が戸惑ったはずです。このような問題に直面した場合、時間を多く費やす必要はありません。わからなければ次の問題に移りましょう。それ以外の問題で解けて且つ点数が取れていれば、合格点に達することができます。時間配分も合否を分ける上での重要なポイントとなります。ちなみに問1の解答は、「有珠山」で、問4の解答が「大都市に近いから。」、問5の解答が「愛媛県・静岡県」となります。〔2〕は「各時代の学校教育」を題材とした歴史の問題が出題されました。問題も記号問題や漢字指定の問題、記述問題と幅広く出題されています。こちらも問題の難易度は基本から標準レベルですので、多くの受験生が取れたと思われます。〔1〕と〔2〕は、全て基本から標準レベルですので、失点をすると合否に差がつきますので、ケアレスミスは許されません。〔3〕は「沖縄県の本土復帰50周年」を題材とした問題が出題されました。沖縄県の本土復帰50周年は、どの受験生も2022年を代表する時事問題として出題されるだろうという観点から対策をしてきたと思いますので、正答率は高かったのではないでしょうか。

過去10年の単元別出題傾向


早稲田中学校の歴史は、通史として出題される割合が非常に高いです。よって、テーマ史毎に学習するよりも時代毎に区切って学習する方法にすると良いでしょう。

合格のために

早稲田中学校の合格へのカギは、地理(グラフ・統計資料の読み取りも含む)・歴史・公民(時事問題も含む)を満遍なく対策をすることです。また、早稲田中学校の入試問題は、漢字で習ったものは必ず漢字指定で書かせる問題が多いです。普段の学習から、漢字で書く癖を身につけておきましょう。加えて、設問を細部まで読み解く力(例えば、ふさわしくないものや誤っているものを答えるのか、正しいものをすべて答えるのかなど)も見極めながら正確に処理する判断力を養う訓練を普段の学習から取り組むことをお勧めします。

理科

2023年度入試分析

大問数は4、解答箇所は23と例年通りの出題で、生物、地学、化学、物理の各分野から大問が1題ずつ出題されている点も変わりありませんでした。いずれの問題も難問奇問の類の出題は無く、取り組みやすい問題だったはずです。解答形式は、記号選択問題と計算を伴う数値記入の問題が中心で、作図問題が1問出題されました。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題を示します。

〔1〕 〔1〕は「初期微動継続時間」の問題でした。P波・S波の速さ、地震の発生時刻を問う問題は基本レベルのため計算間違えをしないで解けたかが点数確保に繋がります。
〔2〕は「電気回路」に関する問題で、単なる知識を問う問題ではなくテレビや日常生活で学ぶことも聞かれていたため、しっかり理解しておかなければ解答するのは難しい問題でした。設問の難易度は高くありませんでしたが、受験生はすべての単元で満遍なく学習しておくことが必要です。
〔3〕は「メダカ」に関する問題で、テキストレベルの問題です。知識が入っていれば時間もかけずに解けたかと思います。
〔4〕は「水溶液」の問題でした。ほとんどが基本的な問題でしたが、問題の図の示すものが頭の中でイメージできたかが点数確保に繋がってきます。また、情報処理能力も求められるため、〔4〕の正答率が合否を分ける鍵となります。

2023年注目問題


《答え》 光:イ・ウ 熱:ア・ク
一見解けそうで実は解くのが難しい問題です。 光に変化させるものは想像ができても、熱に変化させるものは想像がつかないかと思います。 日頃から身近のもののしくみを理解しておきましょう。

過去10年の単元別出題傾向


全分野もれなく基本知識を学習しておくことが必要です。今年度は見られませんでしたが,複数回答の設問も出題されていますのであやふやな知識は使えず確かな知識を求められます。計算問題の難易度は高くはありませんが,条件を正確に把握し迅速に処理する練習が必要です。

合格のために

早稲田中の理科の得点は、40点満点で、昨年度よりも難易度が高かったです。知識を中心とした標準レベルの問題も多いですが、考察力・計算力を問う問題も見られます。実験や観察に関する説明文やグラフ・表・図をしっかり読み取らないと解けない問題も出題されています。基本知識の定着はもちろん、秋以降には、過去問や出題傾向に近いタイプの問演習にも取り組みましょう。多少レベルの高い問題も想定して演習に取り組んでください。

分野毎の学習法

  1. 生物分野
  2. 知識を組み合わせて考える練習をしておくこと。
  3. 近年では、植物の光合成・食物連鎖・花と遺伝子等の出題が見られます。この分野の学習法としては、まずは生物すべての分野について基本知識をしっかり身につけておきましょう。ウイルスと感染症・環境問題など生活に関連した内容の出題にも注意が必要です。光合成・蒸散などの植物の働き・だ液など人のからだの働きに関しては、実験や観察を通して考えさせる問題の演習をしっかり行いましょう。
  4. 地学分野。
  5. 近年では、プレートと地震、化石とプレート、天体に関する出題が見られます。今後も地層・岩石・天体・気象など幅広い単元からの出題が予想されます。プレート・地層・地震に関する出題が近年相次いで出題されており注意が必要です。台風・フェーン現象・日食や月食・金星の見え方なども出題の可能性があり力を入れて学習しましょう。
  6. 物理分野
  7. 近年では、LEDと手回し発電機、滑車などの力のつり合いについての出題が見られます。今後も力のつり合い、電気、光を中心とした出題が予想されます。この分野の学習としてまずはてこ・滑車・浮力など力のつり合いに関する計算問題練習に時間をかけでください。多少難しめの問題にもチャレンジすることが合格を掴み取る鍵となります。電気に関しては、豆電球の明るさはもちろんのこと、LED、手回し発電機、電磁石、電熱線の発熱などの演習もしっかり行いましょう。光については、鏡による像を中心に学習しましょう。
  8. 化学分野
  9. 近年の出題を見ると、溶解度、中和反応と熱などの出題が見られます。計算問題を含む出題になることが多いです。この分野の対策としては、気体や水溶液の性質、指示薬の色の変化などについて基礎知識を確実に固めた上で、計算問題の練習に時間をかけてください。溶解度・燃焼・水溶液と金属の反応・中和、いずれもレベルの高い問題を含めて演習をしっかり行いましょう。
早稲田中で合格点を取れる力を身につけるためには、まずは夏休みまでに各分野の基本の学習を終えておきましょう。そのうえで、9月以降は入試問題と同タイプの総合的な問題演習にも時間をかけてください。もちろん9月以降でまだ苦手な単元に関してはさらに力を入れて定着させる必要があります。9月以降の模試や総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもあります。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげていきましょう。
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