入試分析
慶應義塾湘南藤沢中等部
2023年度
慶應義塾湘南藤沢中等部
(合判模試偏差値4科 男子:74/女子:76)
(合判模試偏差値3科 男子:72/女子:73)
所在地:神奈川県藤沢市遠藤
調査書・報告書の有無:有
面接の有無:有(受験生・保護者)
予想合格最低点 250点/300点
慶應義塾の中で唯一の中高一貫校。慶應の中学校3校の中では最も新しく1992年に開校。生徒ひとりひとりを大切にして、基本を重視し、基礎を確実に身につける、きめ細かな指導を行う。21世紀に国際的な場で活躍するために不可欠なものとして、語学と情報リテラシーを身につける教育に力を注ぎ、「異文化交流」と「情報教育」を教育における大きな柱としている。
2023年度入試情報
過去7年間の実質倍率(1次試験のみ)
国語
2023年度入試分析
大問数4題・小問数41題と、ほぼ昨年通りの問題数が出題されました。今年は大問2より大問3の方が長い文章でしたが、大きな問題はなかったと思われます。大問1の知識問題はひらがなを入れるという問題でした。解きやすいように思いますが、小学校4年生のカリキュラムで扱う内容であり、意外と迷った受験生もいたのではないでしょうか。簡単そうな問題でもしっかりと復習しておくことが大切です。大問4の作文では、文字数が160文字と長めでした。ある人と対話している場面で、その人に反論するという文章でした。論理的に根拠を示しながら書くということが求められています。設問ごとの難易度
※ 簡単そうで迷うのがひらがなの使い方。「づ」を使うのはどのような場合なのか、など正確に判別できるようにしたい。普段からこのような問題は簡単だと思わず、真剣に、丁寧に問題を解くことや、文章を読むときに意識して読むことが大切。
※ 結論をはっきりとかくこと、相手の意見の問題点をはっきりすること、自分の意見はその問題点をクリアできることをしっかりと提示すれば良い。また、日本語のミスをなくすことが大切。主語の省略などうっかりミスをしていることが多い。また、接続しのミスなども少なくない。
※ 自分だけで練習せず、指導者に定期的に添削をしてもらうなど少しずつ長い時間をかけて対策をしていくことが大切。
過去10年の単元別出題傾向
算数
2023年度入試分析
合否を分ける問題は大問3立体図形(3)、大問4平面図形(3)、大問5速さ(3)、大問6条件整理(3)のこの4題のうち2問以上正解できるかどうかにかかっています。それ以外は逆に落としてはいけない問題となっています。ただ、上記に挙げた4つの問題も、単独で問われれば確かに難しく感じますが、(1)→(2)と誘導に乗って解答を進めれば、決して難問ではなく標準的なレベルまで引き下げることができる構成になっています。 ・立体図形から設問に応じた平面を切り出して考えられるかどうか。・平面図形は、“折り返す度にどのような変化が生じるか?” から “何か規則性がないか?”に思考を切り替えられるかどうか。
・速さは、図を正確に記述できるかどうか。(今回は流水算なので、所謂3本の線分図が描けると情報の整理がスムースにできます。)
・条件の整理については、地道な数えだしと、重複する箇所の発見ができるかどうか。
これらの視点は、テキストや問題集などでは、意外に基本的・標準的な問題で出題されますが、その実、試験本番でその基本がミスなく実行できるようになるには、日々の訓練が必要です。また、いずれの問題も、メインの単元にサブとして別の単元が付随していることが多いので、今回で言えば、立体図形と速さや平面図形と規則性など、各単元満遍なく基礎を徹底することが望ましいです。 前述でも記載した通り、その4問の出来が合否を分けるといいっていいと思います。
2023年注目問題
【5】 流水算の問題です。過去10年の単元別出題傾向
合格のために
慶應義塾湘南藤沢中等部の合格を勝ち取るためには- テキストや問題集の基本問題を繰り返し演習し、その解法を身につけること。
- 基本問題でのミスをなくし、標準問題や応用問題で2-3問得点できるような、得意分野を作り出すこと。(ここがかなり難しいですが…。)
社会
2023年度入試分析
大問数7題と例年通りでしたが、小問数が昨年度の41題から35題と少なくなっていました。これは、4年ぶりに「地図」を使った問題が出題され、記号問題が例年よりも増えている入試問題であったからであると思われます。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。慶應義塾湘南藤沢中等部合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。【1】は「四国地方」を題材とした地理の問題が出題されました。設問の内容は、一見すると基本的な問題ですが、説明している文から該当する県を頭で思い浮かべ、そこからその県に関する内容を絞り出して答えなければならない問題なので、応用力も試されます。
2023年注目問題①
【2】は「自然災害」を題材とした地理の問題が出題されました。「自然災害」は、「SDGs」と並んでは近年、慶應義塾湘南藤沢中等部では頻出の問題です。設問の中には、地図を見て共通する災害を答えさせたり、自分自身が災害に見舞われた時の対策方法について答えさせたりと多岐にわたっています。自然災害に関する備えは、テレビなど多くのメディアでも取り上げている内容ですので、一度は目にしたのではないでしょうか。こういった身近な話題からも出題されているので、対策が必要となります。
2023年注目問題②
【3】は歴史の史料問題が出題されました。問題の難易度は、基本から標準レベルですので確実に抑えておかなければなりません。【4】は「鎌倉幕府の執権」を題材とした歴史問題、【5】は「日本が結んだ明治時代の条約」を題材とした歴史問題が出題されました。どれも教科書等に必ず出ている内容であり、問題の難易度も全て基本レベルですので、ここでの失点は許されません。むしろ全問正解していてもおかしくはない問題です。【6】は「最高裁判所の国民審査」を題材とした公民の問題が出題されました。中でも国民の祝日を答えさせる問題が出題されていますが、慶應志望の受験生にとって「国民の祝日」は、対策が必須ですので、多くの受験生が正解したのではないでしょうか。これから慶應を目指そうとしている方は、是非覚えておきましょう。【7】は「円安ドル高」を題材とした会話文形式の問題が出題されました。問題の難易度は応用レベルですが、会話文やリード文を読むと解ける内容となっていますので、焦らずに落ち着いて臨めば解けます。もし、分からないようであれば、出来る問題に移りましょう。時間配分を意識する上で非常に良い問題です。
過去10年の単元別出題傾向
慶應義塾湘南藤沢中等部の地理は、各地方の特色と地形図の読み取りを出題される割合が高いです。各地方の特色は、国土・農業・水産業・工業・人口などと併せて出題されます。苦手な場合は、早期に対策をする必要があります。
合格のために
慶應義塾湘南藤沢中等部の合格へのカギは、どの分野においても満遍なく対策をすることです。特に、「地形図の読み取り」は、大手進学塾では小学4年生時に学習して、その後小学5・6年生で再度、時間を設けて学習することはありません。縮尺と等高線・地形図の読み取りが苦手な受験生は、早期に対策しましょう。また、慶應義塾湘南藤沢中等部は他の慶應附属校3校の中で、設問を細部まで読み解く力が特に必要です。(過去の入試問題では、正しい答えが1つだけではなく、2つ以上あるものもありました。)正しい答えを見極める判断力を養う訓練を普段の学習から取り組むことをお勧めします。理科
2023年度入試分析
全体を通して、問題の難易度は高くなく、受験者層を考えてもかなりの高得点勝負になるかと思います。問題構成としては、知識問題・思考力問題・記述問題と幅広く出題されており、今年度について、2021年のノーベル賞受賞者を問う時事問題も出題されました。また、慶応湘南藤沢中等部理科最大の特徴として、他校よりも思考力が問われる出題が多いということが挙げられますが、その中でも、”グラフや表、実験などを通して得られる仮説・推測を考える”、という形式が好んで出題されています。
全体を通して基本〜標準レベルの問題構成になっているので、いずれの問題もミスなく正答できるが望ましくあります。テキストや問題集で見慣れない問題としては、大問4で出題されたクロマトグラフィーの問題がありますが、いずれも6つの操作からわかることを、設問に落とし込んで聞いているだけなので、見たことがない=難しい(解けない)という先入観は持たずに臨みましょう。 また、理科での時事問題は、単純な知識問題として出題されることは少なく、それに関連付けた単元と合わせて問われるので、逆に言えば時事の知識は最低限でよく、基本事項をしっかりと理解しているかが焦点になり、徹底した基本知識の整理が重要で、応用的な問題は必要ありません。(今年度は地球温暖化とセットで出題されました。)
2023年注目問題
過去10年の単元別出題傾向
合格のために
慶應義塾湘南藤沢中等部の合格を勝ち取るためには、・テキストや問題集の基本問題を繰り返し演習し、全体的な知識を身につける。
・基本的な知識が身についた段階で、実験器具の使い方や、有名実験の手順についての問題演習を行う。(この際、”なぜその使い方をするのか?”や”なぜその手順を行うのか?”といった理由の部分について自分の言葉で説明できるようにする必要があります。)
・時事問題と合わせて出題されそうな単元をピックアップする。(こちらは受験する年度によるため一概には言えませんが、過去の出題を見ると、オリンピックに絡めたものや地球温暖化・地震などの環境や自然災害に絡められたものがありました。)
この3点がベース戦略になるかと思います。