慶應義塾普通部 2023

入試分析

慶應義塾普通部
2023年度

慶應義塾普通部
(合判模試偏差値 74)

所在地:神奈川県横浜市港北区日吉本町
調査書・報告書の有無:有
面接の有無:有(受験生のみ)
予想合格最低点 330点/400点

福澤諭吉の建学の志を脈々と受け継ぐ、大学までの一貫教育校。「独立自尊」の四字に集約される義塾建学の理念に沿い、高い品性と優れた知性を人格の基盤として、独立した思考と行動する個人の育成を目指す男子校。大学までの独自の一貫教育体制のもと、日常の学業や多くの行事を通して、自ら学び自ら考えることを繰り返すことや、多くの人との出会いから、普(あまね)く通じるゆるぎない知性と豊かな感性を身につけていく。

2023年度入試情報

過去7年間の実質倍率(1次試験のみ)

国語

2023年度入試分析

大問数3題・小問数29題と、ほぼ例年通りの問題数が出題されました。大問1の物語が大問2の随筆よりも文字数が多い文章であるのも例年通りです。問題の形式も、記号選択問題、書き抜きの問題、記述問題と、例年通りの出題です。問題数が少なめに見えますが、試験時間が40分と短いため、スピードが必要とされる問題です。過去問演習を繰り返し、時間の感覚を身につけることが必要です。また、大問3で考えすぎないことも必要です。

施設ごとの難易度

2023年注目問題


※ 慶應中等部で出題された当て字と似ていますが、こちらは当て字ではなく、熟語に当てはめられた訓読みのこと。「けさ」「へた」という語自体は難しいものではありませんが、この問の文章を読み、意味を読み取った上で考えることができたかがポイント。「何を聞かれているのか分からなかった」という受験生も少なくなかったように思います。熟字訓という言葉自体初めて聞いたという受験生も少なくなかったと思いますが、初めて聞いた語でも考えて答えを出すことができるかで合否が分かれます。普段の学習から意味のわからない語が出てきた時にすぐに質問するのではなく、自分で考えてみる練習も必要です。

過去10年の単元別出題傾向

算数

2023年度入試分析

制限時間40分・配点100点で大問8題・小問14題と、ほぼ例年通りの問題数でした。問題難易度は例年同様ですが、慶應義塾中等部と比べるとやや難しく詰まらず正確に解いていくことが求められます。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題となっています。慶應義塾普通部は平易な問題と、時間のかかる問題が混在しているので、タイムコントロールが合格するための絶対条件です。

2.ボールを取った順番を整理し、個数が明確なD君B君から解きましょう。3.1辺9個までと10個からで残りの数の規則が変わることに気付くかがポイントです。4.重なっている部分をイメージし、形を分割できれば簡単です。表面積はやや難しく感じたかもしれません。5.ABCの角度の合計が180度であることから解きましょう。6.長方形の対角線は同じなのでCG=CFより2等辺を見つけて行きましょう。7.へだたりグラフです。2人の動きに注意して解きましょう。8.思考力が問われる難しい問題です。手間と時間のかかる問題なので、時間配分によっては対応するかしないかを判断する問題でした。短い時間の中、問題文を正確に読み取り、整理して解く練習が必要です。

2023年注目問題

4.体積では四角柱と2つの円柱。表面積では四角柱側面から円柱底面2個を切り取り、2つ分の円柱側面で考えます。立体図形を把握する練習をしましょう。

過去10年の単元別出題傾向


合格のために

慶應義塾普通部の合格を勝ち取るためには
  1. 高度な計算力を身につける。
  2. 基礎力は早目に完成させる。
  3. ランダムな問題集で時間を短めに設定し、スピーディーに解く練習を行う。
  4. 場合の数や条件整理は典型問題を解きこむ。
  5. 速さに関する問題は、難易度の高い問題まで時間をかけて丁寧に考えて正解を導く練習をしよう。

社会

2023年度入試分析

大問数6題・小問数26題とほぼ例年通りです。どの問題も丁寧に読み取らなくてはならない問題が出されており、問題量を考慮すると、制限時間30分内で処理するのは至難の業です。つまり、スピード力と状況判断力が必要である問題であると言えます。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。慶應義塾普通部合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。

1)は各時代の歴史的出来事に関する内容から地名を答えさせる問題が出題されました。どれも基本レベルの問題ですので、ここは確実に正解しておかなければなりません。また、建物を漢字指定で書かせる問題も出題されていますが、どれもテキストでは太字で書かれている重要用語ですので、焦る必要はありません。普段の学習で漢字をあまり書かない方は、今のうちから練習をしておきましょう。
2)は「日本の河川・湖」を題材とした問題が出題されました。この問題は、日本地図は一切出ていません。そのため、リード文からヒントとなる言葉を自分で見つけ出し、そこから答えを導き出す問題です。また、写真を見て記述させる問題も出題されています。問題は、「四万十川に架けられている橋の多くは、どのようなことを想定して橋が建設されたのか。」という内容です。ポイントは、橋の特徴に触れながら説明しなければならないので、この問題に固執していると時間だけが過ぎてしまいます。30秒から1分かけても分からないようであれば、別の問題に移りましょう。時間配分も合否を分ける上での重要なポイントとなります。
3)は「福澤諭吉と大隈重信」に関する問題が出題されましたが、「お金」に関する内容ですので、どちらかと言えば、歴史と公民分野の複合問題に該当します。設問の中には、「為替」をひらがなで書かせたり、日本の通貨記号である「\」を書かせたりする問題が出題されていますので、応用力も試されています。
4)は「日本の鉄道」を題材とした問題が出題されました。2022年は鉄道が開通して150周年の記念である年でもありますので、ニュースなどで注目されていましたので、対策をされた受験は多かったのではないでしょうか。問題の難易度は全て、基本から標準レベルですので、こちらも確実に取らなければなりません。
5)は「日本の鉱山資源」を題材とした問題が出題されました。問題を見ると、表やグラフの読み取りが出ており、焦ったこととは思いますが、最新の統計資料を見たり教わったりしたことのある内容ですので、こちらも多くの受験生が正解出来たのではないでしょうか。
6)は「アメリカのホワイトハウス」を題材とした問題が出題されました。

2023年注目問題


問題を見てもお分かりの通り、机上の勉強だけでは解けるような問題ではありません。慶應義塾普通部特有の問題であると言えます。今回の問題は、日頃からニュースをテレビで見たり新聞を読んでいたりすれば解ける問題ばかりです。これを対策していた受験生としていなかった受験生との間で点数に差がついたのではないでしょうか。慶應義塾普通部を第一志望校にしている方は、机上の勉強にプラスしてニュースや新聞を見る習慣をつけると良いでしょう。

過去10年の単元別出題傾向


慶應義塾普通部社会の歴史は、テーマ史ではなく原始~現代までの通史を出題する割合が高いです。また、公民では、統治分野を出題する割合が高いです。特に、経済は苦手としている生徒が非常に多いので、他のライバルと差をつけたいのであれば、早期に対策をすることをお勧めします。

合格のために

慶應義塾普通部の合格へのカギは、どの分野においても満遍なく対策をすること。そして、5)で出題されたように、最新の統計資料・グラフ(特に地理分野に関係するもの)なども目を通しておくことが必要です。また、慶應義塾普通部は、他の慶應附属校の中で記述問題の出題が多いです。そのためには、普段の学習から一つの社会用語(人名・地名・出来事など)から沢山のキーワードを導き出す訓練(点と点から一つの線にする訓練)をしておきましょう。

理科

2023年度入試分析

大問数は4題、小問数は27問となりほぼ昨年と同様です。30分の試験時間を考えると、試験自体の難易度は低いとはいえません。記述問題も引き続き出題されています。自分の考えを書けるようにしましょう。今年度はグラフを描く問題がありませんでしたが、表を読み解く問題は出題されています。グラフや表を書く、読み解く事への対策は必要です。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。

問1はカタクチイワシの問題でした。おせち料理など生活・文化を問う慶應らしい出題がありました。また初めて問われると感じるものでも、今までの知識から解ける問題もあります。過去問で慣れていきましょう。問2は自転車のギアに関する問題。前後のギア、後輪の直径の関係性を整理して考えましょう。問3は環境・密度(浮力)の問題です。とても身近なプラスチックの素材と浮力を絡めた問題です。この類の問題は、他学校でもよく出題されています。問4は地震の問題です。地震の特徴、震央からの距離、発生時間など頻出問題です。

2023年注目問題


身の回りにある製品がプラスチックでできており、かつどのような種類でできているかを聞いています。環境問題にもつながる意識の高い問題です。ペットボトルで一部例が挙がっていますが、専門用語が使われており難しい問題だったと思います。新聞の記事などを読み、普段から関心を持っているお子さまが対応できたと思います。

過去10年の単元別出題傾向


慶應義塾普通部では特に生物分野において、幅広い知識が要求されます。基礎的な知識を習得しておかなければいけないのはもちろん、「身の回りの生物への関心と理解」が不可欠です。

合格のために

慶應義塾普通部の合格を勝ち取るためには
  1. 全分野の基礎知識を素早く正確に引き出せること
  2. 身の回りの生物や現象、環境への関心と理解
  3. データ・計算を迅速に処理できる能力
  4. 問題の難易度は、複数の答えを選ぶなどより正しい知識を求められるなどやや高目です。生活している身の回りの環境・現象と関連付けた問題が出題されます。ニュースや新聞だけでなく、辞典や観察など興味を持って触れていけると良いでしょう。「実際に使える生きた知識」と「科学への興味」が,当校の受験準備には不可欠です。また,表やグラフの読み取りおよび計算など十分な対策が,合格を勝ち取るためには必須です。
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