中学受験のヒエラルキー

中学受験カウンセラー 野田英夫です。

野田英夫 | 著者ページ
野田英夫の著者紹介と、野田英夫が執筆した掲載中の記事一覧です。

中学受験カウンセラー野田英夫の記事は、
ダイヤモンド・オンラインでも好評連載中です。

中学受験にはメリットもあればデメリットもある

まず皆さんに質問したい。
「どうして中学受験するんですか?」

この質問にどのように回答するだろうか?

「お子様の将来のことを考えて・・・」
「お子様に充実した教育の場を与えたくて・・・」
「お子様の学力を伸ばしたくて・・・」
「お子様に将来、幸せな人生を送ってもらいたいから・・・」

回答の表現方法は違っても、
「お子様のため」というのは共通していることだろう。

「親として、お子様のために・・・」中学受験を選択する、
とても共感できる。

『教育』と『愛』は同義である。
つまり、
お子様の「教育」に力を入れている親は、
それだけお子様に「愛」を注いでいるということ。
だから、
その家族は、
「愛あふれる家族」といえる。

しかし、現実はどうだろうか?
そんなに現実は甘くない。
中学受験によって心が疲弊して、
家族が壊れてしまうことだってある。

どうして中学受験によって家族が壊れてしまうのか?

「お子様のため」を想って始めた中学受験なのに、
どうしてこんなに辛いことばかり起こるのか?
考えたことはないだろうか?

特に、何のトラブルもなく中学受験を終える家庭だってあるのに・・・。
でも、大多数の家庭では多くの困難を抱えた受験となる。

「良かれ」と想って始めた中学受験なのに、
家の中では、剣呑(けんのん)な雰囲気が毎日漂っている。
ときには怒鳴り声さえ響き渡っている。

母親は、
成績で不安となり、
クラス順位に憂い、
志望校のことを考えると憂鬱になり、
勉強しない子をみて怒りに感情が変化し、
そして、受験に協力しない父親をみて、
沸点を超えて激怒へと変わる。
お母様は本当に大変である。

このような方がカウンセリングに来られる。
どうしたらいいのか?
どうしたらお子様がやる気になってくれるのか?
どうしたら第一志望校に合格させられるのか?
家庭の事情も洗いざらい話されて、
すこしだけすっきりした気持ちになって帰られる。

でも、すこしだけすっきりしても、
時間が経つとまた怒りの感情に戻ってしまうそうだ。
実は、そういう方は自分の気持ちを話されるだけで、
私のアドバイスはほとんど聞いていない。
ご自身の気持ちを聞いてほしいだけなのだ。
だから、また元の状態に戻ってしまう。

では、どうしたらいいか?
対処療法ではなく、根本治療が必要である。
中学受験に対するお子様の思考ではなく、
「親の思考」を変化させないといけない。
これは最後に述べることとする。

競争をあおる塾にも原因がある?

先週のブログでも書かせてもらったが、
このような状態にしてしまう原因は、
塾にもあると考えている。
特に、生徒間で競争を過度にあおる大手進学塾の罪は重い。
成績によるクラス分けにより、
階層(ヒエラルキー)が形成される。
言いかえると、クラス分けという名の「身分制度」である。
上位の生徒たちは優越感を感じ、
下位の生徒たちは劣等感を植え付けられてしまう。
できない自分を卑下するようになる。

しかし、成績とは、その段階での「学力を計る指標」に過ぎないはずである。
にもかかわらず、「人間の価値を計る指標」に代替されてしまう。
成績は、人間の価値を計る指標ではけっしてないはずだ。

しかし、成績下位だと「ダメな子」というレッテルを貼る環境がある。
この競争原理を利用した塾の仕組みに私は疑問を感じる。
いまはまだ成績が下位なだけなのに、
それが原因で将来にも続く自己肯定感を失うことになるのだ。

上位クラスの生徒のなかには、
本気で「下位クラスの奴らはクズだ!」と思ってる者もいる。
ほんとに嘆かわしい。

さらに、これはお子様だけではない。
親(特に母親)へのヒエラルキーの形成にもつながっている。
上位クラスの母親は、自分のお子様の優秀さを誇りに思い優越感に浸る。
一方で、下位クラスの母親は、自分のお子様のふがいなさに劣等感を感じてしまう。
そして、自分で「ダメな母親」のレッテルを貼ってしまう。

もう一度、繰り返すが、
成績というのは、その段階での学力の指標に過ぎない。
人間の価値を比べるものではけっしてない。

塾は、自らの責任回避のために、
「受験の成功は母親のサポート次第です」という無責任な発言を繰り返す。
これでは「成績が悪いのは親の責任」ということか!
塾の責任はどこにいってしまったのか?

中学受験を変える根本治療とは?

最初に質問した、
「どうして中学受験するんですか?」

答えは、
「お子様のため」でしたね。

間違っても「志望校に合格するため」ではないはず。
「志望校に合格する」というのは、あくまで「手段」であるはず。
「成績を上げること」も「手段」にすぎない。

だから、「思考を変えましょう!」

中学受験というのは、
「他人との競争ではありません」

お子様にとっては
「昨日の自分との競争」かもしれないが、
けっして「他人との競争ではない」。

母親にとっても、
「他のお母様との競争でもありません」
上位クラスのお母様が偉いわけでもない。

しかし、受験というのは「競走(・)」なのかもしれない。

「2月までの競走という発想」
2月までにどこまで走れるかの競走。
だから、2月までに走れる距離はお子様によってそれぞれ。
ここまで到達しなければならないのではなく、
がんばって競走して、2月まで走り切った到達点をゴールとする。

だから、第一志望校に合格しなければならないのではなく、
2月まで走り切って、合格した学校をゴールとする。
その学校は、必ずやお子様に最高の環境となるはず。
これが本当の「お子様のため」の中学受験だと言える。
そして、大きくお子様も成長し、家族も一緒に成長しているはずだ。

私はこれからも思っていることを本音で書いていきます。
塾業界で蔓延している非常識を明らかにしていきます。
皆さんに少しでも早く目を覚ましてもらうために!

では、また!
もし、受験のことでお困りのことがありましたら、
野田英夫がカウンセリング(無料)を実施します。
皆さんの受験を応援します。お気軽にご連絡ください。
また、コメント、メッセージも頂けると執筆の励みになります。
contact@altair-waseda-keio.jp

応援よろしくお願いします

タイトルとURLをコピーしました