Nexia理科担当の石丸圭一(いしまるけいいち)です。
こんにちは!
「バイオミメティクス」についてお話いたします。
バイオミメティクスは日本語では
生物模倣や生物模倣技術と言われています。
簡単に言うと,
生物の凄い能力や機能を
真似して利用するという
技術のことです。
たとえば,サメの皮膚。
抵抗が小さいことから
競泳用水着や船底,飛行機の塗装に
応用されています。
お父さんお母様世代ならば
記憶にあると思いますが
レーザーレーサーという水着を
覚えてますでしょうか。
このレーザーレーサーが流行ったのが
2008年の北京五輪。
その8年前の2000年シドニー五輪では
「ファーストスキン」という鮫肌を模した
水着が水泳界を席巻し
その功は絶大で,シドニー五輪のメダリストの
3分の2がこの水着を着用していました。
このように水や空気の抵抗を減らすのに
サメの皮膚の仕組みが利用されています。
ほかにも身近なものに使われている
バイオミメティクスはたくさんあります。
それについて問われたのが
2020年度の香蘭女学校の入試問題でした。
【香蘭女学校 2020年度 大問3】
略
例えば新幹線の先頭車両には,カワセミのくちばしをまねて設計されたものもあります。カワセミが水の中に飛び込むとき,ほとんどしぶきを上げません。研究の結果,カワセミのくちばしは空気や水に対する抵抗がもっとも小さい形であることが分かりました。新幹線の先端をカワセミのくちばしの形にしたところ,トンネルの出入り口で発生する大きな音が小さくなりました。
問3 カワセミについて,カワセミの仲間の特徴にあてはまるくちばしとして正しいものを,次のア~エから1つ選び,記号で答えなさい。
問4 バイオミメティクスにより,様々な技術が開発されています。 その技術と模倣した生物を線で結びなさい。
ヤモリの足 ア・ ・A ヨーグルトのふた
ハスの表面 イ・ ・B 痛みの少ない注射針
蚊の口 ウ・ ・C マジックテープ
オナモミの仲間の実 エ・ ・D 接着剤を使っていないテープ
この問題の新幹線の先頭車両とは,
JR西日本が開発した「500系」新幹線で
山陽新幹線区間での営業最高速度は
300km/hを実現しました。
投入され,最短2時間17分となりました。
新幹線が高速でトンネルに突入すると,
空気の圧縮波が生じて出口付近で一部放出され,
非常に大きな音がしてしまいます。
俗に“トンネルドン”と呼ばれる現象です。
これを解決するため,カワセミのくちばしが
応用されました。
新幹線500系
カワセミ
カワセミは高速で水中に飛び込んで
魚を獲りますが,
そのとき空気中と水中で1000倍もの
抵抗差が生じています。
にもかかわらず、水しぶきが極めて少ないのです。
カワセミのクチバシの鋭い形は,
水の抵抗をもっとも小さくする形状だったのです。
500系新幹線には,実はもう一つ
鳥の機能が取り入れられています。
それはパンタグラフと呼ばれる集電装置。
この突起物の空気抵抗を減らす構造として
フクロウの羽が応用されました。
フクロウは,羽音がもっとも小さい鳥といわれています。
これにより,新幹線の走行による
騒音が30%軽減されたそうです。
新幹線500系のパンタグラフ
私はいわゆる鉄道マニア「鉄ちゃん」
ではありません。
情報が違うぞなど,お気づきの点がありましたら
ご指摘ください。
ここで,お伝えしたかったことは
中学受験理科を勉強することは
テキストの内容の丸暗記だけでは
ダメだということ。
ヨーグルトのふたなどは
テレビのバラエティー番組でも
取り上げられている内容です。
広くアンテナを張って
知識を獲得していく姿勢が大切です。
では,また。
担当:石丸
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