みなさんこんにちは!
早慶ネクシア国語担当の青山 雄一(あおやまゆういち)です。
今回から2回ほど、慶應中等部の入試問題を見ていきたいと思います。
まず、今回は2022年の大問4を見ていきましょう。
非常に印象深い問題でした。
<印象に残った問題>
【四】
次のカ~コの言葉は、在校生が、SDGsにかかわる内容を、ことわざや慣用句をもとに創作したものである。それぞれの( )にあてはまるもっともふさわしいことばを、後の1~6から選び番号で答えなさい。もしお時間があったら、ぜひ解いてみてください。
カ ( )は一時の苦、浪エネは一生の苦
<聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥>
キ 地球の( )も二度まで
<仏の顔も三度まで>
ク 募金は百円でも( )五回分
<山椒は小粒でもぴりりと辛い>
ケ ペットボトルから( )
<瓢箪から駒>
コ 人の( )見てわが食事直せ
<人の振り見て我が振り直せ>
1 ワクチン
2 フードロス
3 太陽光
4 省エネ
5 フリース
6 気温上昇
<解いてみましょう>
さて、答えは思いつきましたか?
それほど難しい問題ではないと感じた方も多いのではないでしょうか。
正解は
カ=4 キ=6 ク=1 ケ=5 コ=2
です。
この問題の考え方はなんでしょう?
環境問題に興味があれば、その知識を使って思いつきそうですね。
国語の担当からすると、文章を読んで考えてもらいたいな、と思います。
カなら、空欄は「浪エネ」の反対の言葉が入りそうです。
なぜなら、「聞く」の反対が「聞かぬ」だからです。
キは上手にできていますね。
気温上昇を2度以内に収めようということです。
クは百円でワクチンを5回打てるということですね。
ケはフリースはペットボトルをリサイクルしたものという知識です。
社会でも扱いますね。
コは後半に「食事」とあることから想像できます。
以上のように、他の科目で学習したことも含めて知識を活用すること、
そして、文章を一生懸命読むこと、
創作者の気持ちを考えることで十分解くことができる問題です。
<この問題から考えたこと>
慶應中等部の国語の問題でSDGsが話題になったのは二度目です。
しかも、読解問題などではありません。
両問とも、考えて答える問題です。
厄介なのは、SDGsについて一生懸命知識を身につけても解けないということです。
あくまで、考えるということが必要です。
これが慶應という学校で求められている力なのではないでしょうか。
この問題を授業で解説すると、生徒さんによっては
「これ、社会の問題だよね!」
ということがあります。
社会で縮尺計算がでてくると
「これ、算数じゃん!」
という生徒さんもいます。
もちろん、他の科目で学習した力を使う問題でしょう。
でも、科目なんて関係ないんです。
これは、この科目というように分け過ぎてしまうと頭が固くなってしまいます。
学校でも、知識、技能の他に
思考力、判断力、表現力、学びに向かう力
というような評価項目が使われてきています。
慶應に小学校から行っていた生徒さんに
小学校で何をしていたのかを聞くと、
必死に暗記させるというような授業は全くやっていません。
いろいろなことを経験し、考え、発表するということが中心のようです。
そして、中学に行った時、受験を経てきた生徒さんに負けない成績を収めていくのです。
慶應が実践している教育を考えれば、
今回挙げたような問題を考えることができることが大切だと分かります。
もちろん、中学によっては知識を一生懸命覚えることで
合格に近づく学校もあります。
自分が受験する学校はどのような力を求められている学校なのかを
よく分析して塾を選び、学習を進めていくことが大切です。
夏期講習がもうすぐ始まります。
今の自分の勉強で中学入試というハードルを飛んでいけるか、
もう一度考えててもいいと思います。
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