早稲田実業学校中等部2023

入試分析

早稲田実業学校中等部
2023年度

早稲田実業高校中等部
(合判模試偏差値 男子:74/女子:76)

所在地:東京都国分寺市本町
調査書・報告書の有無:有
面接の有無:無
予想合格最低点 180点/300点

教育方針は、「豊かな個性と高い学力と苦難に打ち勝つたくましい精神力を兼ね備えた人物」を育成すること。その目的を達成するために、校是として「去華就実(華やかなものを去り、実に就く)」、校訓として「三敬主義(他を敬し、己を敬し、事物を敬す)」を掲げている。早稲田系列の中では唯一、小学校からの内進者もいる。2002年に共学校となり、ほとんどの生徒が早稲田大学に進学する。スポーツの名門校でもある。

2023年度入試情報

過去7年間の実質倍率

国語

2023年度入試分析

大問数3題、小問数15と、この分量が定着したようです。大問2の小問5つは今年も全て記述問題でした。記述では、文字数ではなく、設問に条件が設定されていました。その設定も使い、記述していくことが求められました。また、俳句に関する文学史も出題されました。過去問演習などを通して慣れていた受験生は戸惑わずに解けたと思いますが、準備をしていないとかなり難しく感じたかもしれません。文章量はそれほどでもありませんが、大問2を解くときに時間が足りなくなった受験生もいたかもしれません。十分に準備をして受験に臨んでください。

2023年注目問題



過去10年の単元別出題傾向

合格のために

早稲田実業中学では、長文とともに設問にも注意が必要なものが多いです。何を問われているのか、どのような条件があるのか、どのように答えれば良いのか、という注意が必要になります。「理由を聞かれているために、『~から』を文末にする。」のような、基本的な注意事項よりも一段階高いレベルの注意が必要です。試験当日だけ、注意しておけば良いというものではありません。普段の演習から注意していくことが必要でしょう。

算数

2023年度入試分析

制限時間60分・配点100点・大問5題・小問16題と,ほぼ例年通りの出題でした。年によって難易度に差があるのも特徴です。また,「特殊算」「図形」「場合の数」が頻出分野となっています。 試験時間は,十分にあるものの,前半の計算問題・小問問題で時間を取られてしまうと,後半の応用問題で時間が足りなくなる可能性が高いです。前半は確実に手早く解く必要があるため,高い計算力が必要となってきます。「数の性質」や「図形」問題では,例年かなりレベルの高い問題が出題されており,時間配分をコントロールしないと,後半につれ問題を解く時間が無くなります。 問題処理能力をしっかり高めておくことが時間配分をうまくコントロールするためのポイントとなってきます。良く出題されるのが,「問題を解くための条件やヒントに気づければ解ける」という問題です。こういった問題を解くために必要な「思考力」・「推理力」の有無が合否を分けるポイントとなってくるでしょう。早稲田実業学校中等部の算数の難しさの理由は,「計算の複雑さ」にあります。「手間のかかる逆算」・「分数を用いた計算」・「複数の円すいを組み合わせた立体の表面積」と,最初からかなりの計算力を必要とする問題が出題されています。「完成された計算力」を身につけておかなければ,合格点をとることはできませんので,日頃から計算力を高めておくことが必須事項となってきます。 以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題,Bは標準問題,Cは応用問題となっています。

1の4題は,時間をかけずに全問正解が必須です。各単元の基本的な問題は時間をかけずに正解できるようにしっかり練習しておきましょう。
次に2の(1)は角度の問題です。基礎知識を問う問題ですが,あわせて記述力も求められる問題です。日頃から記述の練習をしておきましょう。必ず得点しておきたい問題です。2の(2)論理と推理は丁寧に問題を読み情報を整理することが重要です。
また3の平面図形は,普通に求めてもできますが,複数箇所がある曲線図形の和ということで移動を発想できるときれいにはめ込むことができる問題です。図形は複雑ですが、落ち着いて整理して丁寧に考えていくと,内容自体は標準レベルなので,合格するためには必ず正解してほしい問題です。
4は(2)を使って考えることができるかを問いかける問題でした。思考力「誘導」の扱いに慣れていれば,気づきやすく回答ができたと思う問題です。
5は丁寧に問題文に沿って考えていけば(2)までは解答する事ができたと思います。そのまま,(2)の切り口である7の個数で場合分けをおこなった上で適切な場合を見つけ出すことができれば,あとは数え上げるだけとなるのでそこまで難しくないと考えられます。

2023年注目問題

2 平面図形(外角定理)です。

 基本知識を問う問題ですが,式を利用して説明しなければならず,難易度が高い問題です。 丁寧に基本事項をまとめ,説明することが重要です。

過去10年の単元別出題傾向


合格のために

早稲田実業学校中等部の合格を勝ち取るためには,図形や点の移動をからめた問題に重点が置かれているため,対称移動・面積・角度・面積変化などには注意して勉強に取り掛かりましょう。 また,「場合の数」に関しては数の規則性や条件の整理を問われることもあるので,対策を練っておきましょう。時間配分のコントロールが鍵となってきます。普段から出来る限り計算問題をたくさん解き,速さと正確性を確実に上げていくことが重要です。
また,計算が複雑な問題も多くなっています。計算の複雑さによって時間を取られないように工夫しながら対策をしていきましょう。
計算問題に自信がついたら,応用問題のために思考力などのスキルアップを目指しましょう。
早稲田実業学校中等部の算数を解き切るには思考力が必要不可欠といっても過言ではないほど 応用問題では,設問順に問題を考えていけば,段階を踏み解答にたどり着くことができるものがほとんどです。公式や基本事項を理解したうえで,1つずつ問題を解いていくことが重要です。
  1. 高度な計算力を身につける。
  2. 思考力を継続的に養成する。
  3. 平面図形は問題を見ると解き方が浮かぶようになるまで念入りに理解する。
  4. 立体図形の切断や展開図からのイメージを正しく持てる練習を行う。
  5. 長めの問題文の問題にあたり、時間をかけて丁寧に考える。その際に途中でやめずに、必ず解き方を理解する。

社会

2023年度入試分析

大問数は3題、小問数は26題と例年通りでした。これは、記述問題が昨年度よりも少なくなったことに関係があると思われます。また、2023年度も地形図の読み取り問題が4年連続で出題されました。今後、しっかりと対策をしていく必要があります。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。早稲田実業学校中等部合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。

〔Ⅰ〕は「鎌倉市」を題材とした地理と歴史の複合問題が出題されました。ここでは、地形図の読み取り問題やグラフの読み取り問題と幅広く出題されています。問題の難易度も基本から応用レベルまで多岐にわたっています。また、問8の②では、写真から読み取れる内容を記述する問題が出題されましたが、写真に描かれているものが何かが分かれば解ける内容となっていますので、そんなに難しくはありません。
〔Ⅱ〕は「日本の裁判所についての親子の会話文」を題材とした公民の総合問題が出題されました。中でも問6は「最高裁判所裁判官の女性の割合が定員の30%を超えるのは、実際何人になったときか。」を計算して答えさせる問題が、問7では「裁判員制度の選定基準の変更点」を記述する問題ですので、受験生の大半が多くの時間を費やしたことと思われます。この問題が分からなければ、自分が解ける問題にうつりましょう。時間の使い方が試される上で、非常によい問題です。それ以外の問題難易度は、基本から標準レベルですので確実に正解しておかなければなりません。

2023年注目問題


〔Ⅲ〕は「京都の祇園祭」を題材とした歴史の総合問題が出題されました。設問の大半が記号問題で、問題の難易度も基本から標準レベルですので、こちらも多くの受験生が解けたことと思います。その中でも問7は空欄補充の記述問題ですが、図や当時の社会情勢が分かっていれば解けるので、そこまで臆することはありません。焦らずに落ち着いて解けば正解できる内容です。

過去10年の単元別出題傾向


 早稲田実業学校中等部の社会は、データの読み取り問題がよく出題されます。特に、国土・自然・気候・農林水産業・工業・貿易はデータ読み取りの定番ですので、苦手な場合は、早期に対策をしましょう。

合格のために

早稲田実業学校中等部の合格へのカギは、どの分野においても満遍なく対策をすることです。また、早稲田実業学校中等部の入試問題は、設問までの文章が長いため、国語と同様に読解力も身につけておかなければなりません。加えて、設問を細部まで読み解く力(例えば、正しくないものを答えるのか、正しいものをすべて答えるのかなど)も見極めながら正確に処理する判断力を養う訓練を普段の学習から取り組むことをお勧めします。

理科

2023年度入試分析

今年度は大問数3、解答箇所18と、例年と比較して解答箇所が少なかったです。出題レベルは基礎から標準レベルがほとんどです。しかし、20字と40字の記述問題も出題されており、その準備は不可欠だったでしょう。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。

1は「水溶液」の問題でした。複雑そうな問題に見えますが、問題文をしっかり読み理解することができれば、難易度が高い問題ではありませんでした。早稲田実業の理科ではしばしば難解そうに見えて問題文を読み取ることで解き進めることができる問題が出題されています。このような出題に慣れておくことが必要です。2は「火山」についての問題でしたが、前半の設問は生態系に関する出題でした。後半の設問は火山・自然に関するある程度深い知識がないと対応しづらい問題でした。問1、2で出題された記述問題は、昨年度に比べれば短いものでしたが、記述の対策は今後も必要でしょう。3は「富士山」についてと2と同じ火山の分野でした。基本事項の確認とは非常に深い知識で知らなければ解けない問題構成となっています。

2023年注目問題


 この2問は,植物に関する問題です。確固たる知識が必要とされます。 生態系とは、生態学においての、生物群集やそれらをとりまく環境をある程度閉じた系であるとみなしたときの呼吸であるなどと理解して解き進めていかなければ記述ができないと思います。 日ごろから、科学への関心を持ちテキストから得られるもの以上の知識を持つように心がけましょう。

過去10年の単元別出題傾向



合格のために

早稲田実業中の理科の得点は、50点満点。標準レベルの問題が多いですが、細かい知識がないと解けない問題が多いことが特徴です。長めの問題文やグラフ・表・図をしっかり読み取らないと解けない問題も出題されます。また、記述問題が出題されます。年々、記述量は少なくなっていますが簡潔に答えるという表現力が問われています。基本の定着はもちろんのこと、秋以降には、過去問や出題傾向に近いタイプの問題の演習も十分に行いましょう。また、時事問題対策も十分行う必要があります。演習に使う問題の選択も大事となってきます。

分野毎の学習法

  1. 生物分野
  2. 近年では、生物と環境、動物の進化、昆虫、植物の働き、人間の血液や血液循環等の出題が見られます。この分野の学習法としては、まずは生物すべての分野について基本知識をしっかり身につけておきましょう。さらに、植物の働きや人のからだの働きに関する実験や観察を通して考えさせる問題の演習をしっかりと行いましょう。また、環境をテーマにした出題も想定されるので注意が必要です。
  3. 地学分野
  4. 近年では、環境問題に関する出題がありました。今年は、火山に関する問題が出題され、岩石・月の満ち欠け等天体・台風など気象についてなどの出題が予想されますのでしっかり学習しましょう。今後も天体・気象・地層・岩石など幅広い単元からの出題が予想される。気象に関しては台風やフェーン現象等様々な気象現象について、来年の試験では同様に地震や火山噴火についての出題も十分考えられます。どれが出題されても大丈夫なように、基本の確認・問題の演習を十分に行っておきましょう。また、時事問題対策として、近年に起こった出来事に関しては入試前にしっかり確認してましょう。
  5. 物理分野
  6. 近年では、物質の性質、光の性質、発電に関して、電気についてなどの出題が見られます。電気や光に関する出題がやや多く、その反面、てこやばねなどの力のつり合いの計算問題はあまり出題されていないのが特徴的です。今後も光や電気を中心とした出題が予想されます。力のつり合いについても今後は出題される可能性はあるので、計算問題の練習は準備しておきましょう。
  7. 化学分野
  8. 近年では、気体の性質・物の燃え方と基本事項を問う問題が主題されており、中和反応など難度の高い計算問題はあまり出題されていません。この分野の対策としては、まずは気体や水溶液の性質、指示薬の色の変化などについて基本知識を確実に固めておきましょう。今後は中和・水溶液と金属の反応・金属の燃焼等に関する計算問題の出題が多くなる可能性もあるので、テキストや問題集を使って計算練習をしっかり行いましょう。
    早稲田実業で合格点を取れる力を身につけるためには、まずは夏休み中に各分野の基本の学習を終えておきましょう。そのうえで、9月以降は入試問題と同タイプの総合的な問題演習にも時間をかけてください。もちろん9月以降でまだ苦手な単元に関してはさらに力を入れて定着させる必要があります。9月以降の模試や総合的な演習は、まだ仕上がっていない分野を見つける絶好のチャンスでもあります。できていない問題については、なぜ間違えたのかの分析をしっかり行い、苦手分野の克服につなげていくことが合格を掴み取る鍵となります。
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