早稲田大学高等学院中学部2023

入試分析

早稲田大学高等学院中学部
2023年度

早稲田大学高等学院中学部
(合判模試偏差値 72)

所在地:東京都練馬区上石神井
調査書・報告書の有無:有
面接の有無:有(受験生のみ・グループ)
予想合格最低点 250点/360点

早稲田大学建学の精神「学問の独立を全うし 学問の活用を効し 模範国民を造就する」に基づき、中等教育の基礎の上に高等学院、大学各学部へつながる前期中等教育を施す男子校。健やかな心身、高い知性、豊な感性を育み、社会に有為な人材を育成することを目的としている。また、中学部は早稲田大学の唯一の付属校として、早稲田大学の中核を形づくる意識を持った「早稲田人(ワセダマン)」を育成する。中学は1クラス30人の少人数編成で4クラスのみ。高入生も多く、高校からは1学年12クラスとなる。

2023年度入試情報

過去7年間の実質倍率(1次試験のみ)

国語

2023年度入試分析

大問数2題、小問数22題と、ほぼ例年通りの問題数でした。文章記述問題は大問一で1題(60文字)、大問二で2題(20文字、45文字)、合計3題出題されました。これについては物語文での記述が増える変更がありました。説明文より物語文のほうが、文字数が多いというのも例年通りです。難易度の変更もなく、国語の学習をしっかり行い、過去問演習をこなしていた受験生にとっては挑みやすい問題だったのではないでしょうか。

2023年注目問題


答えはウになります。  私が注目したのは、この問題の解法です。2つのやり方が考えられます。  1つ目は「アルゴリズム」という言葉の意味を知っていること。この解法は一番単純で分かり易いでしょう。ともすれば、大人でも一瞬、意味が分からないような言葉ですが、意味さえ知っていれば、問題なく解くことができます。しかし、このような意味を問われる問題のために、単語を覚えていくことは、非常に膨大な時間と労力が必要になるでしょう。なぜなら、大人でも難しく馴染みのない言葉を小学生が覚えるのですから、大変な努力でしょう。  そこで、2つ目の解法です。それは、文脈から意味を想像していくことです。そもそも、この問題は、文章題の1問として問われているのです。決して、知識問題の1つではありません。この違いが非常に重要なのです。文章題の1問ということは、読解力を試す問題だという事です。つまり、文章を読めば解ける問題だということです。実際、引用した数行を用いれば、「アルゴリズム」という比喩が手順を意味していることは容易に解答できます。そして、この解法は読解問題の中では基礎的な部類でしょう。  私は、この2つの解法の違いが、進学校と大学付属校の違いだと思います。圧倒的な知識量で問題を解くための勉強と、基本的な解法をしっかりと身に着ける勉強という違いと言い換えられます。志望校によって、勉強のアプローチは変わりますが、早稲田高等学院中学部に関しては、大学付属校向けの勉強が重要になります。

過去10年の単元別出題傾向

算数

2023年度入試分析

制限時間は50分・配点100点・大問4題・小問15題と,出題形式は例年通りでしたが,問題自体は難化傾向にあります。一見簡単そうだが、解けない問題や計算の力業が必要な要素が随所に見られました。また、解き方では発想が複雑な部分、手法(シャドーなど)が求められました。立体図形の切断問題が大問で見られたが、難しいので全ての問題を取り組む必要性はないと考えられます。問題の取捨選択が必要です。最後の規則性の大問は一番難易度が高いことから、問題全体をまずは一通り目を通して判断する必要があります。平均点は例年同様低くなると思われます。

 〔1〕の(1)、(2)が平易な分,安心して(3)で躓く生徒が多数出そうです。(3)の角度の問題を、ただわかっている角度を書き進める手法だけで解く癖があると解けないことに気づき,慌てるパターンです。普段から何を問われているのか,答えを出すためにどこを使うのかなどを問いかけながら解き進めることをオススメします。全体を見て,逆算方式で求めることが最適です。(4)場合の数は発想に苦しむ問題なので,捨てるという選択肢もありでしょう。[1]だから簡単という観念は捨てることも重要です。 〔2〕の立体図形の問題は問題文を読み間違えずに情報を整理することが重要です。(2)、(3)はなるべく簡単な解法に気づくまでに時間を要するので,そこには少し時間をかける必要性があります。合格するには正解しておきたい問題ではありますが難しいです。 〔3〕の立体図形は慌てず解くことができれば,得点源になりそうです。回転体の考えのみで問題を解いてしまうと失敗するうえ,立体の回転図・見取り図・切断図が書けないと基本的には解けません。(4)に関しては捨て問だと考えて良いです。 〔4〕は規則性の問題ですが,少し戸惑うかもしれません。(1)、(2)は純粋な問題なのでさほど難しくはないですが,(3)(4)のように条件をもとに調べていくことに気が付ければとても速く解けるでしょう。

2023年注目問題

〔3〕 立体図形の切断の問題です。

回転体の考えのみで問題を解いてしまうと失敗するうえ,立体の回転図・見取り図・切断図が書けないと基本的には解けません。 手順を理解し正しくイメージできるかがカギとなります。丁寧に思考を積み重ねていくと正解にたどり着きます。日頃からの練習が必須です。

過去10年の単元別出題傾向


問題文が長いのが、早稲田大学高等学院中学部の特徴です。文章をながめているだけでは難問は難問のままです。問題文から図やグラフを正確に書けるように練習しておきましょう。解く糸口がつかめ、正答率が上がります。

合格のために

 早稲田大学高等学院中学部合格を勝ち取るためには
  1. 高度な計算力を身につける。
  2. 単元学習は早めに終え、処理能力を磨く。
  3. 長文の問題に対応できるように、早い段階から時間をかけて進めておく。

社会

2023年度入試分析

2023年度入試では、大問数が昨年度の5題から6題へと変わりましたが、小問数は例年とほぼ同じ38題でした。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。早稲田大学高等学院中学部合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。

1は「日本の各省庁が発行している白書」を題材とした統計資料問題が出題されました。全ての設問が表やグラフから読み取れることを答えさせる問題ですので、データを読み解く力があれば解ける問題です。 2では「日本の気候」を題材とした問題が出題されました。内容は、漢字指定の問題から記号選択問題、記述問題、データの読み取り問題など多岐にわたっています。問題の難易度も基本~応用レベルレベルの問題までありますので、問題を見極めなければなりません。 3は「日本の呪術・占術」を題材とした歴史問題が出題されました。問題の難易度は、ほぼ基本レベルですが、問7の「法螺」の読み方を答えさせる問題や問8の「江戸時代の人びとと寺院の関係性について」記述する問題は、多くの受験生が戸惑ったことと思います。時間配分を意識して解かなければなりません。 4は「日本の外交」を題材とした歴史問題が出題されました。どの問題もテキストや参考書等で一度は学習した内容ですので、ここは確実に全問正解しておかなければなりません。 5は「日本の選挙」を題材とした公民問題が出題されました。2023年度の公民問題は、大人でも考えさせられる内容です。特に問4の「『供託金』を立候補者が法務局などの供託所に納める理由」を記述させる問題、問6の「参議院が『良識の府』と呼ばれている理由」を記述させる問題は、かなりの難問と言えるでしょう。この問題も考える時間が30秒~1分経っても解けないのであれば、他の問題に移って確実に取れる問題を見つけて解くことが必要です。 6は「ゲーム理論の『囚人のジレンマ』」を題材とした問題が出題されました。この問題は、経済学の原点とも言われる古典派経済学です。大人の皆様なら、一度は目にした方も多いのではないでしょうか。

2023年注目問題


ポイントは、中学入試に出題されているということです。多くの大学の経済学部の講義で習う問題ですので、殆どの受験生は解けなかったと思われます。さらに、早稲田大学高等学院中学部特有の、本文や表の中に隠されているキーワードから記述する力を必要としますので、多くの時間も費やしたことでしょう。早稲田大学高等学院中学部の社会は、このような問題もしっかりと対策をしておかねばならないということです。早稲田大学高等学院中学部を志望される方は、特に注目しておきましょう。

過去10年の単元別出題傾向



早稲田大学高等学院中学部の歴史では、中世~現代を出題する割合が高いので、中世~現代までの流れはしっかりと把握しておきましょう。また、時事問題も他の早稲田系属校に比べて出題されやすいです。普段からニュースや新聞に目を通す習慣を身に付けましょう。

合格のために

早稲田大学高等学院中学部の合格へのカギは、どの分野においても満遍なく対策をすること。そして、ニュースや新聞等を見る習慣をつけ、常に日本や世界の情勢を把握しておくことです。また、早稲田大学高等学院中学部は、他の早稲田系属校の中で記述問題の出題が多いです。そのためには、普段の学習から一つの社会用語(人名・地名・出来事など)から沢山のキーワードを導き出す訓練(点と点から一つの線にする訓練)をしておきましょう。

理科

2023年度入試分析

大問は4つ,設問数は30問でした。物理,化学,生物,地学から各1題ずつの出題は変わりません。今年度は,地学が2分野の出題になっていました。基本的な知識と,正確かつ迅速な計算力が必要とされた点も昨年までと同様でした。また,問題文や図からしっかり判断しなければならない問題もあり,理科の総合力が問われる出題でした。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題,Bは標準問題,Cは応用問題をそれぞれ示します。

基本的な知識を問う問題ばかりですので,普段の学習がおろそかになっていなければ解答に苦しむ問題はなかったはずです。

2023年注目問題


基本的な問題ですが,図示するとなると心臓の位置など正確に表さなければなりません。ていねいにノートを取る学習を心掛けたいですね。基礎練習を繰り返し練習してきた受験生には容易だったはずです。

出題分野分析表


多少の出題頻度の違いはありますが,単元別の出題傾向は大きな偏りはありません。これは今後も同傾向と考えられます。

合格のために

早大学院の合格を勝ち取るためには、
  1. 基本的な知識を完全にしておくだけでなく,幅広く「知る」ことを心がけること。
  2. 初めて見るような図やグラフを問題文のヒントを使って読み取る力を身に付けること。
  3. 基本から標準的な計算問題を速く解く練習を繰り返すこと。
知識の丸暗記だけでなく,覚えた知識を利用できるよう,日ごろ意識して演習をし,さまざまな問題へ対応できるようにしておくことが大切です。 40分の試験時間では決して余裕がある問題ではありません。試験時間の使い方も練習していく必要があります。
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