慶應義塾中等部2023

入試分析

慶應義塾中等部
2023年度

慶應義塾中等部
(合判模試偏差値 男子:74/女子:77)

所在地:東京都港区三田
調査書・報告書の有無:有
面接の有無:有(保護者同伴面接)
予想合格最低点 260点/300点

中等部は、福澤諭吉が早くから説いていた女子教育の重要さを反映し実現した男女共学校。「独立自尊」に根ざした、本当の意味で楽しい「自由」を味わえる。中等部の自由でのびのびとした明るい校風の中でじっくりと時間をかけて「自分」を磨き、慶應義塾の一貫教育において、将来社会の先導者となるための力を養ってほしいと考えられる。

2023年度入試情報

過去7年間の実質倍率(1次試験のみ)

国語

2023年度入試分析

大問数は例年通り5題、小問数は46題とほぼ例年通りのボリュームです。問題の構成は物語文、随筆文、天声人語(日本語に関する話題)、熟語の知識(持続可能な地球環境に関する話題)、漢字の書き取りです。大問1が大問2よりも若干長いというのもいつもの通りですが、長いといってもそれほどの長文ではありませんので、時間的にも特に問題はないと思われます。漢字が15問というのも変わりません。小学校配当の漢字から出題されていますが、中には普段あまり使わない言葉も出ているので、漢字で満点を取るのは難しいかもしれません。それでも、10問程度の正解では合格点に届くことは苦しくなるかもしれません。普段から漢字の練習をしっかりしておくことが大切です。大問3では文学史の出題が複数ありましたが、中国の故事と文学史を絡めた出題もありました。一般教養として知っておいて欲しいという意図だと思われますが、純粋に小学生の国語として考えると少し難しい問題だったかもしれません。大問4で環境問題と絡めた話題が出題されるのも3年連続で定着してきているともいえますが、特別に難しい対策は必要ありません。普通に学習してきている内容ですし、そもそも普段の生活で十分に触れている話題です。あとは熟語の知識がしっかりとついているかが問われていますので、普段学習する国語の知識事項をしっかりと身についていることが大切だと言えます。

設問ごとの難易度


2023年注目問題


※演説という語だけ「スピーチ」という音とは無関係である。スピーチという語を「演説」と訳したのは福沢諭吉だと言われている。音ではなく意味で造られた語であるので、ここでいう当て字ではない。
※この語の出典は長恨歌の117〜118連の「在天願作比翼鳥(天に在っては 願はくは 比翼の鳥と作(な)らん)、在地願為連理枝(地に在っては 願はくは 連理の枝と為(な)らんと)」から。
※楊貴妃は唐の時代の人物。玄宗皇帝との逸話が有名であるが、白居易や長恨歌は小学生には難しいように思える。一般教養的に生活の中で触れていて欲しいという学校からのメッセージではないか。普段の生活でさまざまな話題に触れることが、学校が求めている生徒像だということを理解してほしい。この語の出典は長恨歌の117〜118連の「在天願作比翼鳥(天に在っては 願はくは 比翼の鳥と作(な)らん)、在地願為連理枝(地に在っては 願はくは 連理の枝と為(な)らんと)」から。

過去10年の単元別出題傾向

算数

2023年度入試分析

問題数 は大問6、問題数が20問と昨年と同様です。全体的に例年通りの難度です。最後の問題が推理、思考力が求められるやや難しい問題でした。短い時間の中、詰まる事なくスピード感を持って解いていきましょう。  【3】(4)では三角形部分の回転体の表面積は、円錐の回転体と同じになることに気付くなど省略できる手段を意識しましょう。【4】では忘れ物を取った後、峠まで登るので1時間30分かかるので残りを比で求められます。【5】グラフを参考に水槽の水の貯まり方をイメージしていきましょう。【6】試行力・推理が求められる問題です。(1)は3桁目に1,2,4を用い、残りを組み合わせて(2)は3桁目に9,1を用い、残りを組み合わせていきます。時間配分によっては避けても良い問題です。

典型的な問題が多くを占めるので、日頃の頑張りが反映されます。苦手を作らず常に素早く正確に解く練習をしましょう。また省略して早く解く手段を覚えていくことを意識しましょう。

2023年注目問題

【3】 (4)の問題です。三角形斜面の回転体表面積が半径6cm高さ8cmの円錐斜面と同じになります。

過去10年の単元別出題傾向


合格のために

慶應義塾中等部の合格を勝ち取るためには
  1. とにかく基本問題を徹底的に反復すること。省略手段を覚えよう。
  2. 基本問題を1問も取りこぼさず、標準的な問題も解ける(もしくは得意分野を重要単元から何個か作れるかどうか)。
  3. 捨て問を捨てる勇気を持とう!

社会

2023年度入試分析

大問数は昨年度と同様に4題ですが、小問数は昨年度の18題から26題と多くなりました。今年度は、昨年度の50字以内の記述問題2問から60字以内の記述問題1問に変更した分、記号問題や用語記入問題を多めにして情報判断処理能力に比重を置いたのではないかと思われます。以下に設問ごとの難易度をまとめました。Aは一般的な基本問題、Bは標準問題、Cは応用問題をそれぞれ示します。慶應中等部合格のためには、AとBの問題は確実に正解しておかなければなりません。

今年度も記述問題が字数指定の問題が出題されました。また、例年出題されていた「生活に関する問題」もしくは「福沢諭吉に関する問題は、小問で出題されていましたので、しっかりと対策をしておきましょう。次に、大問毎の問題を見てみましょう。

2023年注目問題①


【1】では、「プラスチックとSDGs」に関する問題が出題されました。「SDGs」に関する問題は、昨年度の慶應義塾湘南藤沢中等部で出題されました。さらに、問2の「カーボンニュートラル」を答えさせる問題も昨年度の慶應義塾湘南藤沢中等部で出題されました。このように慶應附属校では、「SDGs」は頻出の問題です。前述の「カーボンニュートラル」は、知っていて当たり前の前提で出題していますので、確実に正解しておかなければなりません。知らない場合は、対策を必ずしておきましょう。また、【1】から応用力を試される問題が出題されましたので、時間配分を図る上では非常に良い問題です。わからなければ次の問題に移りましょう。

2023年注目問題②


【2】では、「日本の食文化」に関する問題が出題されました。どの問題も基本レベルの内容ですので、失点は許されません。中でも問6と問9は「生活に関する問題」です。問6では「しょうゆの一般的な製法」について、問9では「東京の地名が由来の郷土料理」について出題されました。机上の勉強だけ行っていた受験生にとっては難問であったことと思います。慶應義塾中等部を第一志望校にするのなら、こういった対策も欠かさずに行いましょう。
【3】では、「ロシアとウクライナ」について出題されました。この問題は、2022年を代表する時事問題ですので、どの受験生も対策をしていたと思います。また、問題の難易度も基本から標準レベルですので、高得点が取れたのではないでしょうか。
【4】では、「2022年に記録した大雨」を題材とした生徒と先生の会話文形式の問題が出題されました。中でも問4は、「屋久島と種子島の年間降水量が違う理由」を30字以上60字以内で記述させる問題が出題されました。長文記述の問題は2018年度入試から6年連続で出題されていますので、しっかりと対策をしていなければ解けない問題です。まず、この問題を初見で見た時に、多くの受験生は残り時間から逆算して、どのくらいの時間を費やせるのかを考えて解いたのではないでしょうか。ですが、問われている内容は難しくはありませんので、必ず何かしら書くこと重要です。今年度の問題も、例年のような最後に「解答欄の枠内おさまる程度で述べなさい。解答する時には、解答欄からはみ出さないように気をつけましょう。」という決まりがなく、全て時数指定で記述させていますので、文章を要約する力が必要です。

過去10年の単元別出題傾向


慶應義塾中等部の公民は、日本国憲法と統治分野(国会・内閣・裁判所)の出題割合が高いです。特に国会と選挙は、過去に3年連続で50字前後の記述の問題が出題されています。また、慶應義塾中等部特有の生活に関する問題」もしくは「福沢諭吉に関する問題も対策をしておく必要があります。

合格のために

慶應義塾中等部の合格へのカギは、どの分野においても満遍なく対策をすることや日頃からさまざまなことに意識しておくことです。今年度で言えば、「SDGs」や「しょうゆの一般的な製法」・「東京の地名が由来の郷土料理」を答えさせる問題などです。また、今の日本や世界でおきている問題をあなた自身どう思うのかを慶應義塾中等部は求めています。今年度で言えば「ロシアとウクライナ」についての問題です。こういった問題は、机上の勉強で身につくものではありません。塾のテキストに頼った勉強方法では合格点を稼ぐことは出来ないといえるでしょう。そして、今年度では出題されなかった「日常生活に関する問題」を実際に体験することも必要です。ご家庭内で日本の風習や習慣をお子様に教えてあげることに加えて、専門の対策ができる個別指導での学習が必要であると思われます。

理科

2023年度入試分析

今年度は大問数が昨年より少なく4題,小問数は少し増え26問となりました。出題形式はほとんどが選択問題ですが,用語記入の出題が3箇所あり,昨年見られた記述解答形式はありませんでした。大問1が11問とややボリュームがある形式でした。難度はやや易しくなった印象です。「ミスなく,素早く,確実に」解く必要があることは変わっていません。以下に設問ごとの難易度を示します。Aは一般的な基本問題,Bは標準問題,Cは応用問題です。

【1】は「松竹梅」の問題。中等部らしい植物・生物の特殊な知識を求める問題です。しかし今回は文章中に答えが含まれているものがあり、例年よりは解きやすかったでしょう。【2】は「夏の大三角」。星座は頻出の問題です。例年と比べると一般的な内容で優しい問題です。南半球からの問題もよく出されています。【3】は「物質の組合せ」の問題でした。一見するとグループ分けがわかりづらかったかもしれません。それぞれが「気体が発生」「溶ける」「混ざらない」に気付ければ容易です。【4】は「ふりこ」の問題です。通常ふりこの長さが4倍になると周期が2倍と覚えます。ただ実際の実験では多少の誤差が出ることがあり、中等部ではこのような結果を示すことがよくあります。混乱せず、基本的な知識で考えましょう。

2023年注目問題


それぞれの物質の特徴、組合せの知識を正しく持っているかが問われます。狭い知識ではなく広く正しい知識を持っているかが問われる問題です。

過去10年の単元別出題傾向


生物,天体などやや偏りが見られるものも,全ての範囲でていねいな学習しましょう。難度の高い問題は少なく,短い試験時間の中で正しい知識を素早く使えることが求められます。観察や実験を含む問題が多く出題されます。

合格のために

これまで見てきた通り,慶應中等部の合格を勝ち取るためには
  1. 基本的な知識は素早く確実に使えるようにすること。
  2. 問題文や図,グラフを読み取る力を養成すること。
  3. 身の回りの現象に興味を持つこと。
  4. 生活の中やニュースなどで見られる現象に普段から関心を持てているかを求められています。スーパーで見る旬の野菜や果物、通学路で見かける植物・昆虫・鳥、お手伝いで気付く現象など、周りの環境や自分がどんなものを食べているかなどに目を向け,調べるようにすることが大切です。
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